NEC Orchestrating a brighter world
NEC Orchestrating a brighter world

安全なフライトを、独自の技術で支える。世界に誇るNECの衛星航法システム。

安全なフライトを、独自の技術で支える。世界に誇るNECの衛星航法システム。

航空機の安全運航を支える、衛星航法補強システム「SBAS(エスバス)」。この技術を自社開発できる企業は世界で3社しかなく、NECはその1社として、日本版のシステムである「MSAS(エムサス)」の開発を一手に担っています。現場の最前線に立つ3人が、空のインフラを支える仕事のやりがいと、航空の枠を超えて描く未来を語ります。

キャリアも専門性も異なる3人が集結。それぞれの強みを活かし、プロジェクトを推進

国土交通省航空局を主なクライアントとして、航空交通管制システムの提供や空港の利便性向上に取り組んでいるアビエーション&エアポートシステム統括部。同部署でMiho K.は、MSASのプロジェクトマネージャーを務めています。

Miho K.:私が担当しているのは、MSASの技術開発とシステムの提供です。航空機は通常、GPSなどの衛星測位システムを利用して、現在地や飛行ルートを把握しながら航行しています。しかし、より安全な航法を実現するためには、GPS信号の誤差を補正し、衛星に異常がないかを常時監視して航空機に伝える仕組みが必要です。この補強を行う国際的なシステムをSBASと呼び、世界各国で導入されています。

日本におけるSBASとして、航空局様が運用しているのがMSASです。私たちが開発したシステムによって生成された補正情報や異常情報は、準天頂衛星システム「みちびき」の衛星を介して航空機へと配信されます。空の安全に関わるシステムのため、国際標準は極めて厳格です。それを遵守し、日本周辺特有の電離圏の乱れといった難題に取り組みながら、高品質なシステムを届けることが私たちのミッションとなります。

長年にわたり、この領域をけん引してきたMiho。NECへは2014年にキャリア入社しました。

Miho K.:入社した当初は、人工衛星の機械系システム設計を担当していました。MSASに携わるようになったのは、社内で衛星航法の新規事業が立ち上がる際に、声をかけられたことがきっかけです。当初は2年程度のつもりでしたが、この領域ならではのおもしろさや技術の新規性に魅了され、現在まで長く関わり続けています。

Mihoと同じ部署に所属し、技術者としてプロジェクトに参加しているRyohei H.。2019年に新卒入社して以来、一貫してMSASのシステム設計・開発に携わってきました。

Ryohei H.:私がNECに入社した理由は、社会の役に立つ大規模システムの開発に携わりたいという想いがあったからです。就職活動を進める中で、NECが航空管制の領域も手がけていることを知り、この仕事に挑戦したいと考えるようになりました。

そして念願がかなってMSASのシステム設計・開発を担うことになり、システムの中核となる中央処理装置(CPE)の設計・開発に取り組んできました。MSASの性能向上に向けた評価や、今後の海外展開を見据えた構想の具体化、性能シミュレーションなどの技術検討が主な業務となります。

MSASの技術開発をけん引するMihoやRyoheiと連携しながら、ビジネスの最前線でクライアントとの折衝を担ってきたErika K.。NECへは2006年に新卒入社し、現在はデジタルインフラソリューション統括部の航空営業グループに所属しています。

Erika K.:私が所属する航空営業グループは、航空機の出発から到着まで、航空管制に関連する幅広いソリューションを国内外のお客様へ営業・提案する役割を担っています。その中で私は現在、主にデータ通信や情報提供装置などを扱う営業チームのマネージャーを務めています。

入社当初は通信キャリアのお客様向けに営業・提案を行っていましたが、2015年に社内公募制度を活用して自ら今の部署に異動しました。飛行機好きが高じて趣味で自家用飛行機の操縦免許を取り始めたタイミングで、その安全運航を支える航空管制関連システムの営業を社内で募集しているのを見つけたことがきっかけです。

実はNECが航空管制事業を展開しているのを知ったのは、その時が初めてでした。海底から宇宙まで事業領域が幅広く、社内にキャリアチェンジできるチャンスがあったからこそ、やりたいことが実現できたと感じています。

長年培った技術を土台に、安全性と性能向上を追求。衛星航法の発展に貢献するNECの歩み

NECがMSASの開発をスタートしたのは、今から30年前の1996年。長い年月をかけて培われてきた技術は、着実な進化を遂げてきました。

Miho K.:NECが開発したMSASは、アメリカのWAASに次ぐ世界で2番目のSBASとして、2007年にサービスを開始しました。当時は先行する海外企業からの支援を受けていましたが、運用実績と知見を積み重ね、2020年のバージョン2からは100%NEC製のソフトウェアでの提供を実現しています。

そして2025年3月には、測位精度と信頼性を大幅に向上させたバージョン3をリリースし、滑走路に近い位置まで安全に航空機を誘導できるサービスを実現しました。このSBASを自社技術で一から開発できる企業は世界でも3社しか存在せず、NECがその1社となります。

世界で3社のみという、極めて高度かつ専門的な技術領域。それを担う開発現場は、常に難しい課題と向き合っています。

Ryohei H.:人の命を預かる航空機の運航を支えるシステムであるため、安全性の担保は絶対条件です。その上で私は、サービス性能の向上というミッションを担っています。安全性を確実に維持しながら、いかにサービス性能を高めるか。その両立が開発において非常に難しく、そこが技術者として腕の見せ所でもあります。

複雑な処理が絡み合うシステムの中で、Ryoheiは解を導き出すために地道なプロセスを積み重ねてきました。

Ryohei H.:パラメータを少しずつ変更し、評価結果を確認してはまた調整するという地道な作業の繰り返しです。実際に動かしてみて想定通りの結果が出ない場合、原因を特定しなければなりませんが、そのプロセスも決して容易ではありません。原因の仮説を立て、それを一つずつ論理的に潰していくアプローチが求められます。

課題に粘り強く向き合い、空の安全を守るミッションクリティカルなシステムの品質を追求しているRyohei。その開発現場を、Erikaはフロントに立つ営業として支えています。

Erika K.:国家機関が求める高い技術水準を担保し続けるには、Ryoheiさんのような高度な技術力を持つ人材の維持が不可欠です。開発に必要なリソースの確保に向けて適切な予算を獲得できるよう、航空局様に対する丁寧な説明や交渉を重ねることも、営業である私の重要な役割となります。

開発と営業が現場で奮闘しながら、築き上げてきたNECの技術力やノウハウ。それは、航空運送の国際標準が議論される舞台においても、影響力を発揮しつつあります。

Miho K.:国際民間航空機関(ICAO)などが主催する国際会議において、NECは日本の航空局様を技術・ビジネスの両面からサポートする立場で参加しています。MSASやSBASのコア技術を持つ企業として、開発で得た新たな知見やシミュレーション結果を発表し、専門的な視点から議論の進展を支えています。こうした国際標準を策定する場において、日本やNECのプレゼンスをさらに高めていくことが、今後のミッションです。

国際会議でも存在感を示し、衛星航法システムの開発で世界をリードしているNEC。海外展開にも力を入れ、現在は新たなSBASの構想も進めています。

Ryohei H.:ASEAN向けのSBASに関する技術検討を進めているところですが、海外特有の難しさがあります。電離圏の状況が異なる現地での監視局の配置に加え、日本の「みちびき」にあたる衛星の選定など、一から検討し直すべき課題が数多くあるからです。一筋縄ではいかないからこそ、SBASの構想を具体化していく経験を通じて、技術者として成長できていると感じます。

国や地域ならではの特性に対応する難しさは、営業の現場でも同じだとErikaは語ります。

Erika K.:日本の文化や常識が通用しない場面も多く、たとえば打ち合わせ直前で急なスケジュールの変更が生じるなど、国内のビジネス環境では起こらないような事態に直面することも少なくありません。しかし、そうした予期せぬ状況への対応力が身につくことで、営業としてグローバルに活躍できるスキルが培われているのを感じます。

自分たちの仕事が、社会の役に立っているという実感。難局を乗り越えた先に得たやりがい

航空機の安全運航を支えるミッションクリティカルなシステムにおいて定められている国際標準。その厳格なルールがある中、プロジェクトマネジメントを担うMihoは、開発現場で難しい判断を迫られてきました。

Miho K.:MSASのシステム開発では、国際標準に則った手順で安全性の根拠を厳格に証明する必要があります。しかし、そのルール通りの検証や記録を突き詰めすぎると、今度は開発スケジュールが遅延しコストが膨らんでしまいます。妥協を許さず品質を追求しながら、いかに決められた予算と納期に収めるか。それがプロジェクトマネージャーとして非常に苦労した点でした。

この難題と向き合うためにMihoが大切にしたのは、チームメンバーと密にコミュニケーションを取ることでした。

Miho K.:開発チームの体制は、ピーク時には数十人規模になります。私は各ユニットのリーダーと毎日対話し、現場の不満にも寄り添いながら、お客様の想いや私自身の考えを率直に伝えました。こうして丁寧にコミュニケーションを重ねたことで、徐々にチームの一体感が醸成されていきました。

Mihoは、開発現場で課題にぶつかっていたRyoheiのサポートにも注力。対話を続ける中で、Ryoheiは解決の糸口を見つけていきます。

Ryohei H.:プロジェクトの後半、思うような性能が出ずに苦しんだ時期がありました。しかしそこに近道はなく、やはり一つずつ検証を積み重ねるしかないのです。FTA(フォールト・ツリー・アナリシス)を用いて、発生した問題から想定される原因を段階的に細分化し、ロジカルに検証を重ねるアプローチを取りました。

納期が迫る中でどう解決すべきか思い悩んだこともありましたが、1人で抱え込むのではなく、ソフトウェアの開発チームなどと協力することで、改善策を見出していくことができました。

社内の結束に加え、プロジェクトの推進において重要となるのが、社外との折衝を担う営業の力。Mihoは、Erikaの存在にとても助けられたと振り返ります。

Miho K.:予算やスケジュールを巡ってタフな交渉が続く局面で、Erikaさんは大いに力を発揮してくれました。私が発注者への回答案や要望を伝えると、その意図を理解して「こういうやり方ができないか」と主体的に意見を提案してくれたのです。私1人では思いつかないようなやり方で、交渉の場をまとめてくれました。

Erika K.:航空局様との交渉において心がけていたのは、お互いの目線をそろえるということです。航空運送の安全性を向上させるという社会的意義のある目的に向かい、チームジャパンとしてプロジェクトを推進していきたい。そうした熱意を持って、折衝に臨んでいました。

国際標準の厳格なルールに則り、チーム一体となって人の命を預かるシステムを社会に届ける──その重責の先に、3人は大きなやりがいを感じています。

Ryohei H.:社会に役立つ大規模システムを開発したいと考えてNECに入社し、それがまさに実現できていると感じます。自分が設計したアルゴリズムで生成されたメッセージが、実際に衛星から放送され、航空機に届けられている。目には見えにくい技術ですが、空のインフラを支えられていることにやりがいを感じます。

Miho K.:Ryoheiさんが言う通り、MSASは一般的にあまり知られていません。そうした中で、地方の航空会社の方から、「MSASを使った方式でなければ着陸できないことが何度もあった」というお話を直接伺う機会がありました。こんなにうれしいことはないと思い、すぐにチームメンバーに共有して喜びを分かち合いました。

Erika K.:実際にシステムをご利用いただいている航空会社様のお役に立てていることを実感できるのは、大きな喜びです。私自身は飛行機が好きなので、好きな分野の仕事に携わっていること自体にとても充実感があります。そして、私が営業として開発現場とお客様のかけ橋となり、システムの提供を通じて社会に貢献できることに、やりがいを感じます。

衛星航法で培った技術を、あらゆる移動に活かしたい。新たな社会価値の創造をめざして

チーム一丸となって難局を乗り越え、安全・安心という社会価値を届けてきた3人。次のステージに向けて、それぞれに挑戦を続けています。

Miho K.:世界では次世代SBASの開発に向け、2種類の周波数で電離圏の影響を受けにくくする「DFMC」という最新技術の採用が検討されています。これが実用化できれば、ドローンや空飛ぶクルマの運航、航空機の自動着陸といった、未来のモビリティ社会を支える基盤となります。NECとしてもこの世界的な潮流の先頭を走るべく、技術開発により注力していきたいと思います。

また、SBASやMSASは、地上の通信電波が届きにくい山間部の農地や洋上などでも高精度な位置情報を取得できる点が強みです。そのため、航空機だけでなく農機や鉄道、船舶といった非航空分野からも注目を集めています。今後はこうした領域に対しても、NECの技術を活かして新たな価値を提供していきたいです。

Ryohei H.:私の当面の目標は、ASEAN向けのSBAS構想を具体化していくことです。また並行して、次世代SBASについても技術検討を進めていきます。次世代SBASにおける信号のデータフォーマットは、現行のMSASとは大きく異なるため、補正アルゴリズムを一から設計し直す必要があります。難易度は高いですが、どのような仕組みを構築していくべきか、技術者として検討を重ねていきたいです。

Erika K.:私は今年4月から担当が変わり、現在はマネージャーとして営業チームの統括やメンバーの育成に取り組んでいます。担当が変わっても、これまで関わってきたプロジェクトに対する期待は変わりません。今後も空のインフラとして日々の安全な運航を支えるために、NECの技術がさらに進化していくことを楽しみにしています。

国内外の安全な空の旅を支え、次世代のモビリティ社会に必要な基盤を築いていくために。同じ志を持つ未来の仲間に向けて、3人がメッセージを送ります。

Erika K.:NECには、自分の意志でキャリアを切り拓き、活躍できるフィールドが豊富にあります。私自身も途中でキャリアチェンジを経験していますが、通年公募型のキャリア・マッチング制度「NEC Growth Careers(NGC)」が整備されているなど、社員の挑戦を後押ししてくれる会社です。人生は1度きりですから、この環境を活かしてぜひ自分のやりたいことに挑戦してほしいと思います。

Ryohei H.:1996年にSBASの開発を開始して以来、NECは長い年月をかけて技術を築いてきました。それを習得するのは容易ではありませんが、だからこそ追求するおもしろさがあります。好きな技術の探求に没頭しながら、社会の役に立てる点が魅力です。そして、MSASフォーラムなどの機会を通じてエンドユーザーの声を聞き、自分が手がけた技術が確かに空の安全を支えているという実感を持てることも、この仕事ならではだと感じます。

Miho K.:他社での経験を振り返っても、NECの最大の強みは「チームとしての一体感」です。グループ会社間の垣根が低く、密なコミュニケーションを取りながらプロジェクトを推進できる環境があります。MSASの開発は難易度が高く技術的な壁も多いですが、その難関を突破した先には、ワクワクする未来があり、さまざまな事業の可能性が広がっています。このチャレンジングなプロジェクトを共に楽しみ、乗り越えていける仲間の参加をお待ちしています。

※ 記載内容は2026年6月時点のものです

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