アグリデータサイエンティストとして5年間経験を積んだ後、AIソリューション統括部に異動したMako Y.。現在はサプライチェーン領域の業務効率化に向け、AIエージェントを用いたプロトタイプの開発に取り組んでいます。「お客様が本当に求めているものは何か」を追求するMakoが、技術で価値を生む仕事の醍醐味を語ります。
お客様との対話を開発に活かして。検証と改善を重ね、業務への実装につなげる。

AIソリューション統括部は、AIを活用したプロダクトの開発を行う組織です。その中で私は、AIエージェントを用いてサプライチェーンマネジメントの業務効率化に取り組むAI SCMグループに所属しています。2026年5月に異動したばかりですが、チームにはAIやデータ分析の専門家など多様なプロフェッショナルが集まっているため、周囲に学びながら新たなスキルを習得しています。
私の主な役割は、プロトタイプによるPoCなどを通じてお客様の業務課題を整理し、解決策となるシステム導入までを行うことです。お客様に試していただく中で改善点や要望を直接ヒアリングし、それを反映して品質を磨くことで実際の導入へとつなげています。
たとえばスポーツ業界のお客様向けには、レースごとの選手の組み合わせや枠順を決める「レースプログラム」の自動作成システムのPoCに取り組みました。選手の能力バランスや担当者ごとの編成意図を過去のデータから学習し、最適な対戦カードを提案する仕組みです。
こうしたプロトタイプの開発を加速させるために欠かせないのは、仮説検証のサイクルを素早く回し、技術をスピーディーに実装していくことです。そのためにClaude CodeをはじめとするAIは不可欠なツールとなっています。NECはAnthropic社のグローバルパートナーであり、同社のAI技術を実務で最大限に活用できる環境が整っています。要件定義からプロトタイプへ落とし込むまでの全工程でClaudeに指示を出しながら進めることで、異動から4カ月程度で2件のPoCを遂行できました。
一方でどれほど技術が進歩しても、お客様が抱えている課題を正確に把握し、それをどう解決すべきかを考えて指示を出すという人間の役割は変わりません。AIが導き出した結果を評価し、真にお客様の業務改善に結びつくのかを見極める力が求められます。
だからこそ私が大切にしているのは、常にお客様の立場に立ち、当事者意識をもって開発に取り組む姿勢です。自分が担当する範囲にだけ目を向けるのではなく、前後の流れや業務の全体像を具体的にイメージすることで、まだ表面化していない本質的な課題に気づけるように心がけています。
農業への想いを胸に、専門性をさらに広げる。社内公募で切り拓いた新たなキャリア。

学生時代は農学を専攻し、リンゴ生産を効率化するための研究に取り組んでいました。NECへの入社を決めたのは、修士課程の在学中にAgriTech事業開発室のインターンシップに参加したことがきっかけです。農業をITで変革したいという私の想いは、この会社でならかなえられると感じました。
そこでは先輩方の丁寧な指導のもと、未経験だったデータ分析をゼロから教わりました。単に業務の進め方だけでなく、なぜそういうルールがあるのかなど背景まで詳しく説明してもらえたことで、仕事の本質的なおもしろさに触れることができました。
入社後は5年間にわたり、アグリデータサイエンティストとして農業の自動化に向けたデータ分析から事業開発まで携わりました。その中で痛感したのは、技術ありきの発想から脱却することの大切さです。当初は今ある技術をどうやって活かすべきかを重視していました。しかし現場で求められているのは技術そのものではなく、課題を解決することです。
そう気づいてからは、お客様の課題を起点にそれを解決できる技術の仮説を立て、価値検証するアプローチを重視するようになりました。提案した技術でうまくいかなければ別の方法を探し、新たな仮説を立て直す。このサイクルを何度も粘り強く回し続けたことは、プロトタイプを改善していく今の業務にも活かされています。
こうした経験を経て私が現在のAIソリューション統括部に異動したのは、一部事業の撤退を機に次のキャリアを考えたからです。農業に貢献したいという想いはずっと変わらないものの、それをかなえるには農業以外の技術、とくにこれからの時代に欠かせないAIエージェントの知見を深めなければならないと考え、新たな領域に挑戦することを決めました。
その時、転職するという選択肢もあったと思います。それでも私は、通年公募型のキャリア・マッチング制度である「NEC Growth Careers(NGC)」を利用して社内で異動する道を選びました。NECは農業以外にも海底から宇宙まで事業領域がとにかく広く、尖った技術も専門人材もそろっています。この環境でなら、まだまだできることがある。そう考えてNECで新たなキャリアに進む決断をし、AIのプロフェッショナルをめざすという次の目標に向かって歩き始めました。
データに基づき、納期回答を適正化。製造現場の負担を減らすシステム開発への挑戦。

異動後に担当したのは、製造業のお客様向けに納期回答を適正化するシステムの開発プロジェクトです。お客様の課題は、受注時の納期回答を過去の経験値に頼っており、実際の生産能力や資材の状況と乖離が生じていることでした。そのため、提示した納期と製造現場の実情が合わず、お取引先に期日どおり納品できないというトラブルが生じていたのです。こうした状況を改善するべく、データに基づいて正しい納期を算出するプロトタイプの開発を進めることになりました。
開発にあたっては、AIの活用に向けた基盤づくりから段階的に進めていく方針としました。AIは前提となる業務データや算出ルールという土台が整えられて初めて、機能を発揮する技術です。そこで、まず正確な計算ロジックを構築し、現場での運用が定着した後にAIによる高度化を進めていくというロードマップを描くことにしました。
そして、業務部門やシステム部門など関係各部にヒアリングを重ねながらプロトタイプを作り上げ、過去の実データを入力して検証を行いました。その結果、従来の納期に比べてスケジュールが平準化され、現場に負担のない日程で製造できることが確認されたのです。お客様からも「これなら以前より確実に運用しやすくなる」という評価をいただき、システムが実際の現場で役に立つことが実証できました。
今回のプロジェクトを通じて学んだのは、システムを使う現場のお客様だけでなく、すべての関係者の視点に立って考えることの大切さです。機能性の高さやセキュリティの強度など、部門や役職によっても重視するポイントは異なります。そのため新たな技術を導入する際には、それぞれの立場を想像しながら進めることが大事だと気づきました。
関係者が多いほど調整は大変ですが、お客様とコミュニケーションを取りながら試行錯誤を重ね、最終的に価値を実感していただけた時のやりがいはとても大きいです。お客様の課題を解決するだけでなく、それをビジネスとして成り立たせることを前の部署で実現できずにとても悔しい想いをしました。その経験を糧に、継続的に収益を生み出すプロダクトの開発や事業化に挑戦していけることに、おもしろさを感じています。
組織を超えた連携を強みに。NECの総合力でめざす、サプライチェーン全体の最適化。

サプライチェーンは、調達から生産、物流、販売まで領域が多岐にわたります。そのため今回の納期回答を適正化するシステムにとどまらず、全体を最適化できる統合的なAIエージェントの仕組みをつくることが今後の目標です。特定の業務を改善するだけでなく、サプライチェーン全体を円滑に回すソリューションの構想を描き、全社を巻き込む必要があります。
こうした挑戦に取り組む上で、「BluStellar(ブルーステラ)」という価値創造モデルのもと、組織を超えて連携できる体制があることはNECの強みです。課題を定義するコンサルタント、分析やAIモデルの構築を担うデータサイエンティスト、現場での実装を推進するエンジニアなど、多様なプロフェッショナルが互いの知見を掛け合わせ、AIトランスフォーメーション(AX)を加速させています。「社会を変革したい」という強い意志を持つ仲間と協力し、最新のAI技術に触れながら成長できる環境はとても刺激的です。
また、長い歴史の中で積み重ねたお客様との信頼関係があることも、NECで働く大きな魅力です。豊富な実績と営業部門が築いてきたパートナーシップがあるからこそ、たとえ構想段階のアイデアであっても、お客様は提案の機会を設けてくださいます。若手のうちから直接お客様の課題を伺い、事業の創出に挑戦できるのはNECならではだと感じています。
さらに当社は、幅広い事業領域を背景に、社内公募など自らキャリアを切り拓いていける制度が充実していることも特徴です。私がNGCを利用して異動したように、新たな領域に挑戦したいという想いが芽生えた時にも、社内でそれをかなえられます。転職のような負担を伴わず、社内にある豊富な選択肢の中から自分に最適な道を見つけられることは、キャリアの安心材料になります。
これから私たちのチームに加わっていただきたいのは、社会課題を解決したいという強い想いを持つ方です。私たちの役割は、最先端のAI技術とお客様の課題、そして多様な関係者を「つなぐ」ことにあります。それは、技術への探究心はもちろん、社会を変革したいという本物の熱意がなければ成し得ません。高い志を持つ仲間と共に、NECに広がる可能性を活かして新たな価値の創造に挑戦できることを楽しみにしています。
※ 記載内容は2026年9月時点のものです