人的資本経営を実践し、社員の力を最大限に引き出す取り組みを推進しているNEC。その1つが、若手社員の活躍を支援するプロジェクト「NEC Empowered Journeys(EJ)」です。PMOを担うのは、当事者である2人の若手社員。自ら課題意識を持ち、社内の変革に挑戦する想いを聞きました。
営業とSE、異なるキャリアから人事へ。新たな挑戦へと2人を突き動かした「当事者意識」

EJの推進役を担当している、Momoka K. とManaka Y.。2人はHRビジネスパートナー統括部に所属し、異なるグループで活躍しています。
Momoka K.:私はデジタルデリバリーサービスBUグループに所属し、ビジネスリーダーと対話しながら、事業成長に向けた人事戦略の立案や施策の検討・実行に取り組んでいます。データやAIを活用して現状を分析し、組織に必要なアクションやカルチャーの変革を支援するのが主な役割です。
Manaka Y.:私はコーポレートファンクショングループに所属し、CIO/CISO領域の組織・カルチャーの変革に向けた組織・人の課題解決に取り組んでいます。人材の育成や組織文化の醸成のほか、全社人事制度・施策の浸透、人材フロー等に関するマネジメントサポートなどを行い、人事コンサルティングの提供を通じてビジネスリーダーやピープルマネージャーを支援しています。
新卒で入社した当時、Momokaは営業職、ManakaはSE職と、異なる職種に就いていた2人。ともに通年公募型のキャリア・マッチング制度「NEC Growth Careers(NGC)※」を活用し、人事職にキャリアチェンジしました。
※ NEC Growth Careers(NGC)について詳細はこちら
Momoka K.:私が人事に興味をもった原点は、学生時代にあります。飲食店で7年間アルバイトとして勤め、時間帯責任者を経験した際に、配置や育成ひとつで人の成長が大きく変わることにおもしろさを感じたのです。
そのため人事職の志望度も高かったのですが、まずはお客様と向き合い、外から見たNECを肌で感じたいと考えて営業職を選びました。そして入社4年目に自ら手を挙げて人事部門へ異動し、今に至ります。
一方、Manakaの転機となったのは、SE時代に現場で感じた課題意識でした。
Manaka Y.:私はもともと組織マネジメントに興味があり、当社のSEはその経験を積む機会が多いと聞いたことがSE職を選んだ理由の1つです。そしてSEとして働く中で、どうすればメンバーの成長や士気を高められるかに関心を抱くようになりました。
一方で現場では、上層部が挑戦の機会を提供してくれても、それをどうキャリアに活かせば良いかわからず悩んでいる若手の存在がありました。私自身もその1人だったので、当事者として現状を変えるために行動しようと、入社2年目に人事部門へ異動しました。
キャリアチェンジを経て、2人が現在取り組んでいるEJ。Manakaが直面したように、若手のキャリアや成長に関する課題意識から、このプロジェクトは始まりました。
Momoka K.:EJの目的は、20~30代の若手社員の力を最大限に引き出し、「NECで活躍し続けたい」と思える環境をつくることです。若手が抱きやすいキャリアや成長の不安を解消し、エンゲージメントを向上したいという想いからEJが立ち上げられました。
2人がEJへの参加を決めた背景には、当事者としての強い想いがありました。
Momoka K.:私が入社当初抱いていたのは、「できない当たり前をできる当たり前」に変えたいという想いです。大学で福祉を学んだ際、障がいがある方の外出を阻む要因は、本人の気持ちではなく、環境が整備されていないことにあると気づかされました。
同じように、挑戦を妨げている要因を取り除けば、若手の挑戦が「当たり前」になると考えました。自分がオーナーシップを発揮できる機会を活かし、社内を変えていきたい。そうした想いで参加を決意しました。
Manaka Y.:私もMomokaさんと同じ想いです。VUCAの時代、将来のキャリアに不安を抱く若手社員は少なくありません。それでもせっかく挑戦や成長の機会があるのに、目の前のチャンスを逃してしまうのは、本人にとっても会社にとっても大きな損失です。このもどかしい現状を何とかしたいという一心で、EJへの参加を決めました。
施策はあるのに届きづらい──若手の視点で課題と向き合い、キャリアの道筋を可視化

EJのPMOとして、プロジェクト全体の舵取りを担っているMomokaとManaka。会議で取り上げるテーマの選定や進行、各施策の進捗管理などを行っています。
Manaka Y.:活発に意見交換ができる雰囲気づくりを目的として、メンバー間の交流促進などにも積極的に取り組んでいます。PMOとして何をすべきか、Momokaさんと2人で密にコミュニケーションを取りながら決めています。
日々議論を交わす中、次第に浮かび上がってきたのが「施策が散発的で若手に届いていない」という課題です。2人も若手の当事者として、その現状を肌で感じていました。
Momoka K.:NECでは人事機能が細分化されていて、評価、育成、採用などがそれぞれ専門組織で運営されています。そのため社員には異なる部署から案内が届くことになり、全体像が見えづらい状態でした。情報が点在しているため、どこに欲しい情報があるのかがわかりづらくなっていたのです。
Manaka Y.:加えて、自分に必要な施策が判然としないという課題もありました。研修ごとに目的やカリキュラムは説明されていますが、今の年次やスキルに合った研修がどれなのかが包括的には明示されていなかったのです。結果として何を受講すればよいかがわからず、学習の機会が活かしづらい状況になっていました。
この課題を解決するため、2人はまず「若手ジャーニーマップ」の作成に着手。入社1年目から5年目までの成長ステップと、それを支援する施策を体系的にまとめました。

Momoka K.:作成にあたってとくに意識したのは、施策間の関連性を可視化することです。年次ごとに利用できる施策を示し、どのようにステップアップしていくのかを明確にしました。
また、1年目にはキャリアの基礎固めを大切にする一方で、自発的に選択できる手上げ制の施策も用意しています。こうして若手が自ら挑戦し、段階的に成長を重ねていける設計にしました。
並行して、点在していた情報を集約する「EJサイト」も立ち上げました。
Manaka Y.:まずは、各部門が個別に発信していた施策に関する情報を1カ所にまとめ、「ここを見ればすべてわかる」という状態にしました。今後は単なる情報の集約に留まらず、若手の成長やキャリア形成を促すメッセージを発信し、メディアとしての機能も強化していきたいと考えています。
Momoka K.:Manakaさんが言う通り、情報発信にはこれから力を入れていきたいと考えています。それと同時に、まずは知ってもらうことが重要です。EJサイトの存在自体が認知されなければ活用してもらえないため、周知活動とコンテンツの充実化を並行して進めていきたいと思います。
若手の「やりたい」を形に。手挙げ制のプログラムを充実化し、挑戦を後押しする

自律的なキャリア形成を促すためのさまざまな施策が盛り込まれている「若手ジャーニーマップ」。中でも特徴的なのは、手挙げ制のプログラムです。
Momoka K.:たとえば「リバースメンタリング」は、新入社員が役員をリードしながらAI活用やアプリ開発を行う施策です。意欲を持った若手が挑戦できる場があることを、わかりやすい形で示すことを目的としています。
新入社員にとっては経営層の視座に触れられる貴重な機会となり、役員側からも「若手が会社の中で活躍できる可能性を実感できた」という声が寄せられました。双方向の学びを通じて、経営・マネジメント層のマインドセット変革にもつながっています。

Manaka Y.:他にも、若手社員がファシリテーターとしてプロジェクトを主導する「RISE Fast Change Facilitator」が用意されています。事前に課題解決の手法を学んだ上で実践に臨むため、リーダーシップとスキルの両面を磨ける機会になっています。
Momoka K.:さらにEJとは別に、若手たち自身による有志活動もあります。自分たちが感じた組織課題をテーマに企画を立案し、1年かけて解決に取り組む自主プロジェクトです。HR方針として掲げている「挑戦する人の、NEC」を若手自らが体現することで、社内に挑戦の文化を広げ、社外にもNECには誰もが活躍できる風土があることを伝えたいという想いで始まりました。
キャリアに関するイベントの企画・運営など、スポンサーの獲得から実行までを若手主導で進行するため、事業運営に必要なスキルが身につけられると好評です。この活動は2023年から続けているのですが、参加者は年々増え、2025年度は約90人が参加しています。
一方で、「手を挙げる」ことへの心理的なハードルをもう1段下げる工夫は、これから検討が必要な課題です。
Manaka Y.:本業以外の活動に時間を割くことに、「やるべきことを後回しにしている」と見られるのではないか、という不安を持つ社員もいるはずです。だからこそ、挑戦している姿を社内で積極的に紹介し、会社として評価していることを伝えていく必要があると考えています。
Momoka K.:とくに若手有志活動では社内広報に注力し、参加した人がどのような機会を得て、成長しているのかを発信しています。挑戦している社員のロールモデルを示すことで、「自分も一歩踏み出してみよう」という意識を醸成したいと考えています。
こうしてEJに取り組みながら、若手の当事者として課題と向き合っている2人。困難にぶつかりながらも、やりがいを見出しています。
Momoka K.:社内で前例のない取り組みのため、「正解がない」ことが一番の難しさです。どの課題から着手すべきか、データをもとにどう議論すべきか。Manakaさんとゼロから考えながら進めています。生みの苦しさはありますが、その分だけ形になったときの達成感は大きいですね。
Manaka Y.:キャリアに対する考え方は人それぞれですし、会社がどこまで介入すべきかという線引きの難しさもあります。そこはいつもMomokaさんと頭を悩ませている点です。でもプロジェクトには、多様な部門から経験豊富なメンバーが集まっているので、仲間の知見を借りながら前に進むことができています。
試行錯誤を重ねつつ、2人が積み上げてきた施策によって、少しずつ現場の空気感も変わり始めてきました。
Manaka Y.:若手有志活動をはじめ、手挙げ制のプログラムに参加する若手が増えつつあることが変化の1つです。また、キャリアに関するイベントなどに参加した若手社員から、成長や挑戦に対する意欲を感じさせる前向きな声がたくさん寄せられています。
施策を通じてすぐに組織全体が劇的に変わるわけではありませんが、一人ひとりの「新たな一歩」を後押しすることにつながっているという実感があります。
チャンスは自ら取りに行く。挑戦を通じて得た学びを活かし、これからも変革を続ける

EJの立ち上げから約2年。プロジェクトでの経験は、2人のキャリア観にも変化をもたらしました。
Manaka Y.:プロジェクトを通じて実感したのは、「キャリアは自らつくるもの」だということです。環境や制度による支援も大切ですが、今いる場所や取り組んでいる仕事から何を学び、どう成長するかは自分次第です。EJ以外の業務でも、「もっと踏み込んでみよう」「受け身ではいけない」と意識するようになりました。
Momoka K.:私も同じ想いです。結局は自分がどう動くかが一番重要だと実感しています。チャンスを与えられるのを待つのではなく、自ら取りに行く。その姿勢が大切なのだと学びました。EJに挑戦できたのは、私の想いを理解し応援してくれる上司や同僚のおかげなので、その期待に応えるためにも、より多くのことを吸収して還元していきたいと思います。
待つのではなく、自ら動く。その姿勢を実践するなかで、2人はEJを続ける意義を感じています。
Momoka K.:「若手ジャーニーマップ」の完成やEJサイトの作成などは、試行錯誤しながらも生み出した確かな成果です。そしてEJを通じて他部門の仲間と出会い、そこで得た新たな視点や学びを本来の業務に活かせることにも、価値を感じています。
Manaka Y.:Manakaさんと同じく、組織の枠を越えて多様な仲間の考え方に触れられることは、人事担当者としても一個人としても貴重な成長機会だと感じています。また、私たちが設計した「若手ジャーニーマップ」が、NECの人的資本経営を説明したIR資料に掲載され、社外にも発信されているのを見ると、この仕事の意義を実感します。
確かな成果を積み重ねながら、2人は次の展開を見据えています。
Momoka K.:目の前の業務に追われると、キャリアについて考える時間は後回しになりがちです。だからこそ、キャリアを考えることの優先度が自然と高まるような仕組みをつくりたいと考えています。今後は「若手ジャーニーマップ」の周知を促進するとともに、対象年次の拡大や内容の深化についても、メンバーと議論を続けていきたいです。
Manaka Y.:これからもNECの挑戦できる環境を活かして、若手社員が主体的にキャリアを描き、前向きに働ける環境づくりに貢献したいと考えています。進路に悩んだときに活用できる施策や、一歩を踏み出すきっかけとなる仕組みを、積極的に形にしていきたいと思います。
自らの力で社内を変えていく2人。その挑戦を支えているのは、NECならではの組織風土です。
Manaka Y.:NECの魅力は、挑戦の機会が豊富なことです。年齢に関わらず、やりたいことを後押ししてもらえる環境があり、自分次第でさまざまな機会に挑戦できます。私自身、NECに入社する前は年功序列や安定志向のイメージを持っていましたが、今は「変わり続けることを、変えない」という変革の姿勢を実感しています。
Momoka K.:役員を含め、会社全体がより良く変わろうとしていて、その動きを加速させる制度や環境がどんどん整備されています。実際に若手として挑戦の機会をいただき、こうして全社プロジェクトを担当できていることがその証の1つです。後押ししてくれる制度や専門人材がそろっていて、多様な価値観に触れながら成長できる。それがNECの魅力だと感じています。
※ 記載内容は2026年1月時点のものです