NEC Orchestrating a brighter world
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AIが意思決定を支え、社員がアクションを取る。経営コックピットで加速するNECの変革

AIが意思決定を支え、社員がアクションを取る。経営コックピットで加速するNECの変革

データのサイロ化、非効率な会議、スピード感のない意思決定──。かつてNECが抱えていた課題を解決するのが、経営情報を一元管理し全社に共有する経営コックピットです。「クライアントゼロ」としてAIの実装に取り組み、システムの進化に挑み続ける2人が、データドリブン経営の現在地と未来を語ります。

変革を実践し、データドリブン経営へと転換。Quick Winで積み重ねた成果

コーポレートIT戦略部門のデータ&アナリティクス統括部に所属するAtsushi H.とMiku K.。経営判断に必要な情報を集約し、NECの現状を可視化した経営コックピットの企画・開発を通じて、NECのデータドリブン経営を推進しています。

Atsushi H.:私は主に2つの業務を担当しています。1つは経営コックピットの企画・開発です。従来の経営マネジメントを変革するために、どのようなデータやダッシュボード、AIが必要かを検討しながら実行しています。もう1つは、「クライアントゼロ」として、NECが取り組んできたデータドリブン経営の実践知を活かした、お客様への支援です。

Miku K.:私は経営コックピットの企画・開発・運用を担当しています。BIツールやAIデータクラウドを基盤に、社長兼CEOである森田の視座・視点でインサイトを自動発信する「CEO AI Comment」などのAIコンテンツの実装、データ更新フローの自動化やパフォーマンス改善に取り組んでいます。

▲経営コックピット イメージ(数値はサンプル値)

2024年に新卒入社したMikuに対し、Atsushiは2011年入社。FP&Aを10年以上経験した後、現在の部門に異動しました。今はデータドリブン経営を全社で実践しているNECですが、かつてはデータ活用に課題があったとAtsushiは振り返ります。

Atsushi H.:データが部署ごとに分断され、連携されていないサイロ化の状態でした。当時はデータを集約するだけで手一杯だった上、意思決定に必要な情報が一部の人にしか共有されていなかったのです。なぜその結論に至ったのかという背景が見えず、納得感を得られない場面が少なくありませんでした。

データのサイロ化による弊害が顕著に表れていたのは、会議の場面でした。

Atsushi H.:とくに課題だったのは、データは膨大にあるのにそれを活用しきれていなかった点です。データを集計・整理した結果、最終的に1枚の資料に収められてしまい、背後にある情報は活用されていませんでした。会議で質問が出ると、資料に記載のない内容は会議後に調べ直さなければならず、意思決定のスピード感がまったくなかったのです。

現場に表れていた課題は、NECの経営にも影を落としていました。2010年代、業績悪化により株価は額面割れを起こし、創業以来最大の危機に直面。経営陣はNECの存在意義から再考し、変革に着手します。その1つが、経験や勘ではなくファクトに基づき意思決定を行う、データドリブン経営への転換でした。

Atsushi H.:データドリブン経営へ舵を切ることに、現場は賛成でした。ただ、具体的な取り組みの検討が始まると、自分の業務が変わることに抵抗感を示す社員も出てきて、総論賛成・各論反対という状況が続きました。

その状況を打開するため、当時の上司と共に始めたのがボトムアップの活動です。50人ほどの有志メンバーが集まり、BIツールを活用してデータの可視化を進めていきました。その中で私たちが大切にしたのは、最初から完璧をめざさず、一歩ずつできることから形にしていくことです。今振り返ると、小さな成功実績を積み重ねるQuick Winの考えが、すでに実践されていたのだと思います。

全社員に経営情報を公開。経営コックピットでファクトと向き合い、NECの「今」を把握

データドリブン経営の実践に向けた取り組みが加速する中、全社の情報を集約するためのシステムとして構築された経営コックピット。入社1年目に経営コックピットのプロジェクトに抜擢されたMikuが、その特徴を説明します。

Miku K.:経営コックピットは、会社のマネジメントに必要な情報をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定と具体的なアクションにつなげるためのシステムです。経営、財務、人事、ITなど、10領域の98種にわたる経営ダッシュボードがあり、その中からとくに重要なものを経営コックピットに掲載しています。

経営コックピットで「状況を見て判断・実行」し、詳細な分析をしたい場合は経営ダッシュボードに遷移するという位置づけです。役員の執務室にはディスプレイが設置され、日々の業績確認が可能な環境が整っています。

そして役員に限らず、すべての社員が同様にアクセスできる点が特徴です。このシステムはAIや機械学習といった最先端の技術を導入しながら、絶えず進化を続けています。

全社員が経営情報を閲覧できることにより、ファクトと向き合う文化だけでなく、NECの現状を自分ごと化する意識が醸成されたと言います。

Miku K.:画面の左上には株価が表示されているので、会社が市場からどう評価されているかを把握し、業績を自分ごと化する習慣ができました。株価も含めて経営コックピットに掲載されている情報を通じ、いつでもNECの「今」を知ることが可能です。

こうして現在は私の業務の中で当たり前の存在になっている経営コックピットですが、初めて見た時は洗練されたデザインや機能性に驚きました。そして自分がプロジェクトに参加することが決まった際には、この高度なシステムに携われるんだと、とてもワクワクしたのを覚えています。

その期待感を胸にMikuが担当することになったのが、経営コックピットの進化を支えるAIの実装です。未経験から挑戦し、スキルを磨いていきました。

Miku K.:専門知識がなかったため、ゼロからのスタートでした。そこで活用したのが、生成AIを業務利用できる「NEC Generative AI Service(NGS)※」です。まずAIに質問してたたき台を作り、そこに自分の考えを加えた上で先輩に相談する。そうして基本的なことはAIから、本質的なことは人から学びながら専門知識を身につけていきました。

※NEC Generative AI Service(NGS)について詳細はこちら

NGSと社内の専門家に助けられながら、AIコンテンツの実装に取り組んでいったMiku。とくに力を入れたのが、可視性の向上でした。

Miku K.:AIのプロンプトを何度も調整し、重要なポイントが一目でわかる画面にするために改善を重ねました。中でも見やすさを工夫したのが「CEO AI Comment」です。当初は文字が羅列されているだけだったのですが、キーワードを色付けして目立たせることで、要点を理解しやすくしました。

それを実現するまでには、さまざまな困難にぶつかったと言います。その時にMikuが取ったのは、周囲を巻き込む行動でした。

Miku K.:技術的に難しい課題に直面した際には、パートナーベンダーの方に直接相談するようにしました。そして対話を繰り返しながら、一つずつ解決策を見出していきました。

その様子を傍で見ていたAtsushiは、課題に取り組む粘り強さに感心したと言います。

Atsushi H.:Mikuさんの強みは、技術的なハードルがあってもベンダーと丁寧に対話し、粘り強く解決に導くところです。対応のスピードも意識しながら、責任感を持って最後までやり遂げる。その姿勢にいつも感心させられています。

会議に無駄がなくなり、迅速な意思決定が可能に。AIとデータがもたらした大きな変化

AIコンテンツの実装をはじめ、最先端の技術を取り入れながら進化を続けてきた経営コックピット。その活用は、NECの現場に確かな変化をもたらしています。

Atsushi H.:とくに大きく変わったのは、会議の在り方です。以前は議論を始める前に、膨大な時間をかけて資料を準備する必要がありました。今はその手間がなくなり、まず経営ダッシュボードを確認する、あるいはAIに質問するところからスタートします。必要な情報に即座にアクセスできるようになり、意思決定のスピードが格段に速くなりました。

経営コックピットは、会議や意思決定のプロセスを変えただけではありません。データが可視化されたことで、組織全体に好影響が広がっているとAtsushiは言います。

Atsushi H.:自分の活動が経営にどう貢献しているかが可視化され、それが全社に共有されることで、従業員のエンゲージメント向上にもつながりました。

具体的には、セキュリティダッシュボードの例が挙げられます。NECが日々受けているサイバー攻撃に適切に対処している状況を可視化したことにより、自社システムへの安心感とセキュリティ部門への信頼感が高まりました。

その結果、各事業部門から評価の声が寄せられるようになり、同部門のエンゲージメントが大幅に向上したのです。これは一例ですが、他部門の業務に対する理解が深まることで、全社の一体感が醸成されていると感じます。

経営コックピットの活用は、社員のモチベーションだけでなく業務への取り組み方にも変化をもたらしています。

Atsushi H.:日々実感するのは、データに基づいて判断する文化が浸透してきたということです。ワークスペースで「経営ダッシュボードではこういう数値が出ている」という会話をごく自然に耳にします。

そして業務では、AIの活用が前提になりました。情報の収集や整理、アイデア出しといった一次的な作業はAIで行っています。AIが出した回答を受けて、そこから人が論点を決め、より良い意思決定に向けたストーリーを描いていく。そんなふうに、創造性や判断が求められる業務に集中できるようになったと感じています。

データとAIを活用し、誰もが経営情報にアクセスできる──その先進的な環境は、組織を越えた協働も生み出しています。

Atsushi H.:経営コックピットには、製品・サービスの価値に見合った価格で取引ができているかを確認できるプライスモニタリングという機能があります。これを活用して課題のある商材を特定し、担当部門が営業やSEと連携することで、収益性を改善できた事例がありました。この事例は、昨年の「データドリブン経営コンテスト」でCFO賞を受賞しています。

Miku K.:「データドリブン経営コンテスト」とは、経営に資するデータドリブンな社内活動を募り、先進的な内容を表彰する取り組みです。昨年度はNECグループ各社も含めて73件もの応募がありました。

想定以上にさまざまな部署がデータドリブン経営を実践していることに驚いたと同時に、それをしっかりと評価し、奨励しようとする役員の熱量を改めて感じました。

こうした社内活動が広がっているのは、経営情報がオープンで誰もが同じデータにアクセスできる環境があるからこそです。上層部からの指示を待つのではなく、現場の社員が自ら課題を見つけ、プロアクティブに行動できる。私自身、そうした働き方ができていると感じます。

失敗を恐れず挑戦し続ける。「クライアントゼロ」の先に、社会価値の創造をめざして

AIの活用やデータドリブン経営の実践を通じ、変革を続けるNEC。新たな取り組みに挑み続ける原動力となっているのが、自社をゼロ番目のクライアントと位置づけ、最先端のテクノロジーを率先して活用する「クライアントゼロ」の考え方です。

Atsushi H.:クライアントゼロの考え方のもと、NECは自社の変革を推進してきました。それを可能にしたのは、トップの強力な後押しです。CEOの森田もCIOの小玉も、「失敗してもいいから積極的に挑戦しよう。それがいつか社会価値の創造につながる」と繰り返し発信してくれています。

そして、業績評価の項目にはNECの行動基準である「Code of Values」の実践度が含まれているなど、挑戦の姿勢を評価する仕組みがあることも特長です。こうした環境があるからこそ、皆が前向きに挑戦できるのだと思います。

入社2年目のMikuも、若手が安心して挑戦できる環境があると話します。

Miku K.:トップの発信が現場に浸透していて、上司も同じマインドを持ってくれています。そのため「まずやってみよう」と一歩踏み出すことができます。失敗を恐れずに挑戦し、結果から学んで次に活かせばいい。そうした考えが自然と身についていきました。

社内に浸透している「クライアントゼロ」の考え方。それをMikuが自ら実践したエピソードがあります。

Miku K.:上司と社外イベントに参加した際、フリーワード検索機能に可能性を感じました。後日、上司から次に取り組みたいことについて聞かれた際、この機能を提案したところ、開発を担当させてもらえることになったのです。若手がやりたいことを尊重し、支援してくれる風土があると感じています。

Mikuのように新たな技術を試すからこそ、見えてくる課題や解決策。そうして実践から得た「活きた」知見を、お客様や社会に還元できるのが「クライアントゼロ」としての価値です。

Atsushi H.:NECがどうやってデータドリブン経営を実践してきたのか。それを知ることはお客様にとって大きな価値であり、DXの伴走パートナーとしての評価につながっています。そのことは、「クライアントゼロ」の実践知を体系化した「BluStellar Scenario」の引き合いが年々大幅に増えていることからも明らかです。

「クライアントゼロ」としての実践知を提供することで、お客様の価値創造を支援し、その先の社会価値創造につなげていくために──2人は次なる変革のビジョンを描いています。

Atsushi H.:私がめざしているのは、経営マネジメントそのものの変革です。経営とは、意思決定の連続だと考えています。その意思決定のプロセスに経営コックピットやAIを組み込み、新しい経営の在り方として具体化する。それをまず「クライアントゼロ」としてNECで実現し、お客様や社会へと提供していきたいと思います。

Miku K.:私は、AIの機能を進化させてより的確な提案ができるようにし、それをもとに人が評価・改善することで、意思決定の質をさらに向上させていきたいと考えています。現在取り組んでいるフリーワード検索もその一環ですが、誰もが知りたいことを自由に問いかけ、膨大なデータの中から欲しい答えをすぐに得られる環境を構築していきたいと思います。

常に未来を見つめ、新たな挑戦を続ける2人。それは「変わり続けることを、変えない」をスローガンに掲げ、終わりなき変革に挑むNECだからできることだと言います。

Miku K.:NECは歴史ある大企業のため、入社前は新しい取り組みを受け入れる柔軟性や、失敗を許容する文化はないかもしれないと考えていました。しかし実際に働いてみると良い意味で大きなギャップがあり、組織全体にチャレンジの気風があふれています。

そして新しいことへの挑戦に向けて貪欲に学ぼうとする社員が多く、互いに刺激を与え合いながら、モチベーション高く働ける環境だと感じています。

Atsushi H.:NECにはAIやデータ活用にとどまらず、さまざまな専門知識を有するプロフェッショナルが在籍しています。そういったメンバーと連携することで、世の中にインパクトを与えられる価値の創造に挑戦することが可能です。

事業領域が多様でお客様の規模も大きいため、自分の専門性を活かして社会に貢献できるフィールドがどこまでも広がっている。それがNECの魅力だと思います。

※ 記載内容は2026年1月時点のものです

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