2021年に日本電気株式会社(以下、NEC)へキャリア入社した赤石 亮。ワクチン接種を円滑化するV-SYSプロジェクトに入社2カ月目で参画し、未経験ながらコールセンターやBPOのリーダーを務めました。前職の知見を活かしてプロジェクトを成功させた赤石が、NECだからできる仕事のやりがいを語ります。
世界的eコマース企業からNECへ。DXの経験を積み、キャリアの可能性を広げるために
私はデジタルプラットフォームビジネスユニット BluStellar(ブルーステラ)事業推進部門に所属しています。「BluStellar」とは、DX事業の強化に向けて今年度から展開を開始した、お客様を未来へ導く価値創造モデルです。
BluStellarセールス統括部では、営業部門と連携しながら「BluStellar」の商材や新たな価値をお客様にご提案しています。その中でとくに官公庁に対して新規領域の開拓に向けた営業を行うのが私の役割です。
NECではこれまでも官公庁向けに多くのソリューションを提供していますが、私が注力しているのはその延長線上での提案ではなく、従来NECがアプローチできていなかった領域を重視した提案です。他社にはない価値で、積極的に新たなマーケットを創出することに主軸を置いています。
私はNECに入社する前、2社で経験を積みました。2009年に世界的コングロマリットのグループ会社に就職し、蓄電池ビジネスの新規事業立ち上げを担当したのがファーストキャリアです。商品企画から営業推進、販路の開拓まで幅広い業務に従事しました。
そこで約8年経験を積み、キャリアアップのため2017年に世界最大級のeコマース企業へ転職。2社目では、法人出品者向けのコンサルティングや、自社で直接仕入れて販売する商品のマーケティング支援などを行っていました。
そうした中でNECへの転職を考えたのは、当時DXが黎明期を迎え、新たな経験を積みたいと考えたことがきっかけです。その上で前職を離れようと思った理由が大きく二つあります。
一つは、前職の会社ではすでにDXが推進されて仕組み化されており、その中でのロールが決められていたこと。もう一つは、業務の領域がeコマースに限定されていたことです。そのため裾野の広い分野でDXを展開していて、キャリアの幅を広げられる企業を探しました。
最終的にNECを選んだのは、選考プロセスがスピーディだったことが決め手です。他にも応募しましたが、私が転職で実現したいことも条件面もすべて希望どおりだったので、迷わず入社を決断しました。
入社2カ月目で国家プロジェクトに参画。本質を捉え、ワクチン接種の円滑化を支援
私が入社した2021年1月は、V-SYSの導入が始まったばかりの時期でした。V-SYSとは、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた中、ワクチンの円滑な接種を実現するために開発されたシステムです。2020年11月に厚生労働省とNECが協力して開発に取り組み、わずか4カ月で実装から運用までを実現。接種実績や在庫状況などの情報を一元管理することで、ワクチンの適切な分配を可能にしました。
私がそのV-SYSプロジェクトに参画することになったのは、入社から2カ月目のことです。NECはシステムの構築と運用だけでなくユーザーサポートまで一括して担っていました。その中でファーストユーザーとなる約10カ所の病院をサポートするため、スーパーバイザーとしてV-SYSの使い方を指導する派遣スタッフを管理すること──それが私のミッションでした。
次第に対象となる病院数が増えて数千もの規模になったため、電話による対応へと切り替えを実施。ピーク時には約150人の人員を抱えるコールセンターをマネジメントすることになりました。さらに書類などの作成を代行するBPOチームのリードも任されるように。実は当初、プロジェクトの支援は1週間を予定していたのです。それが自ら業務領域を広げていった結果、最終的には1年半にわたり支援することになりました。
その中で私が常に意識していたのは、「本質的に必要なものは何か」ということです。全国から問い合わせが寄せられる状況で、対応できる範囲には限度があります。すべてに回答することを優先するのではなく、内容を精査し、より切迫した状況にあるお客様を優先してサポートすることを心がけていました。
また日々状況が変わる中で、スピーディかつフレキシブルに対応することも注力した点です。新しいワクチンの登場や企業での接種開始などの変化が起きるたび、迅速にコールセンターのスタッフに情報を共有してチームを統括することを意識しました。
入社2カ月目でまだNECの組織体制も把握できていない中、緊迫した状況下でもプロジェクトを円滑に推進できたのは、頼りになる責任者や優秀なメンバーに恵まれたからだと感じています。みんなが密にコミュニケーションを取り、同じ熱量で取り組めたことで、協力して困難を乗り越えることができました。
未経験で挑戦した一大ミッション。前職の知見を活かし、データドリブンな施策を実施
NECに入社するまで、私はコールセンターの運営経験はありませんでした。それでも着実にミッションを遂行できたこと、そしてお客様からの信頼を得られたことが個人的な成果だと感じています。
信頼を得られたポイントは、本質的な課題に集中しスピード感を持って対応したことに加え、前職の経験を活かし、データドリブンなアプローチを取ったことが挙げられます。
具体的には、問い合わせ件数の予測にもとづいてリソースを配分するなど、データにもとづいたプランニングとアクションを実施しました。そのプロセスをお客様にも開示して共有したことで、コールセンターやBPOチームに対する信頼感が醸成され、次々と新たなミッションを任せていただくことができたと考えています。
今回のプロジェクトを通じ、学んだことが数多くありました。その一つが、お客様がプロジェクトに何を求めているのかを理解し、アクションを取ることの重要性です。それがITの知識やマネジメントスキル以上に大切であると、あらためて認識する機会となりました。
また自分の仕事観が変わったことも大きな収穫です。一つのロールに縛られた仕事よりも、ミッションに向かって自分が裁量を持ち、幅広いロールを担当できる仕事により魅力を感じることに気づきました。
V-SYSプロジェクトのように社会的意義の大きな業務に挑戦させてもらうことができ、NECに入社して良かったと感じています。DXの知見を培いたいという当初の転職目標も実現でき、キャリアの幅が広がりました。百億円規模のプロジェクトに従事し、目に見える形で社会に貢献できることは、NECならではのやりがいだと思います。
また、さまざまなプロジェクトに携わりながら、常に新しい経験が積めることも魅力です。イレギュラーな状況で価値を発揮することに私はおもしろさを感じるので、本来のロールではない業務にも挑戦させてもらえる環境に働きがいを感じています。
情熱を伝播させ、ミッションにコミットする。周囲を巻き込みさらなる挑戦を
NECは今年7月に創立125周年を迎えました。長い歴史がある分、積み重ねられた慣習や文化がありますが、多くの社員がその変革に取り組む姿勢を持っていると感じます。
私自身、昨年は全社的な組織変革活動である「RISE Fast」に参加し、若手社員のチームリーダーとして活動に取り組みました。内容は、当社のDX事業の核について社内理解を深めることを目的に、勉強会などさまざまな企画を実施するというものでした。
その中で私が大切にしたのは、若手社員が発言しやすい雰囲気をつくることです。心理的安全性を高め、メンバーからの意見を積極的に引き出すことに注力しました。私は日常的にも、若手に対しては同じ目線で接し、意見を引き出し尊重するコミュニケーションを心がけています。
そうして若手の活躍支援に取り組みながら、入社4年目となり自分自身の次なる目標も見えてきました。その一つが、人的リソースに依存せずに拡大できる新たなビジネスの開発に携わることです。SIサービスの場合、顧客のプロジェクトごとに開発人材が必要になります。
たとえばSaaSのように、同じ人的リソースでもより多くの顧客の獲得を狙え、自社の強みを活かすことのできる事業の開発にチャレンジしたいと考えています。同時に事業の開発のためにチームをリードすることにも挑戦し、メンバーと共に共通の目標を達成するための一体感醸成にも取り組んでいきたいと思います。
そのためにも私がとくに重要だと感じるのが、NECの行動基準「Code of Values」の一つである「心は情熱的、自らやり遂げるように」です。心が情熱的であれば視線も自ずと外を向き、周囲を巻き込んで事業の成功に本気でコミットできると思うからです。
私が昨年リードした官公庁向けの提案では、部門を横断してさまざまな仲間に協力してもらい、数百ページにも及ぶ提案書を作成しました。そして顧客にわかりやすく価値を訴求したことが、大型案件受注の一助になったかなと思います。
そのように社内ステークホルダーの意見をうまく取りまとめ、ミッションを遂行できること。それが私の価値の一つだと考えています。これからも自分の価値を発揮し、情熱を伝播させながら、より大きな社会課題の解決に挑戦していきたいと思います。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです