現場でのプログラミング経験を強みに、段階的なステップアップを実現
大学では理系の学部に所属していましたが、専攻していたのは数学。ITや情報系について学ぶ機会はあまりありませんでした。にもかかわらず日本電気株式会社(以下、NEC)の技術職を志したのは、官公庁で働いていた父親の影響です。取引先の会社のひとつとして話を聞くうちに、国の基盤を影から支えるというIT分野に関心を持ちました。
就職活動の際は、NECをはじめとする国内の大手ITベンダーの選考を受け、無事にご縁をいただき、NECへと入社しました。
入社後に配属されたのは、官公庁をお客様にしているビジネスユニットで、その中でも大学向けのシステム開発をする部署。学生や教職員にお知らせやアンケートを送るためのポータルシステムや、学生が履修登録や成績照会をするために利用する教務/学籍システムなど、大学の基幹システムの開発に携わりました。大学の基幹システムは、オーダーメイドが基本。要件に合わせて大学ごとに一件ずつ新たにつくるのが一般的です。
入社1年目は、システム開発の現場でプログラミングを行いました。大手のITベンダーに入ると、設計やプロジェクト管理などの工程に関わることがほとんど。そんな中、プログラムを組んだりテストをしたり、実際に手を動かすところから始められたことは、今でも自分の強みになっていると思います。
プログラミングを一通り経験した後は、3年目にシステム設計のリーダーを担当。5年目からはプロジェクトリーダーとして、プロジェクト全体の管理を任されるようになりました。
私はもともと、チームプレイが好きで、中学時代は副キャプテンとしてバレーボールの全国大会にも出場していました。メンバーを束ねながらプロジェクト全体を進めていく工程は、その経験に通ずるものがあり、適性を感じながら全体管理を担当しています。
経験をもとに着実に成長していく。大規模案件、業務研修から学んだこと
入社以来、とくに印象に残っているのは、大学向けのポータルシステムを導入する100人規模の案件に、プロジェクトリーダーとして携わったことです。
大学の規模が大きく、たくさんの学生が一斉にアクセスするシステムだったため、それに耐えられるだけの性能を確保する必要があったんです。ところが、パブリッククラウドの利用や当時の最先端技術を採用したため慣れないことが多い上、オフショアを活用しながらの開発となったこともあり、最終的に性能や品質に課題を抱えることになってしまいました。
なんとかリリースしたものの、たった数時間でシステムが停止。切り替えを中止してもとの状態に戻した後、プロジェクトメンバー全員で1カ月間リカバリーにあたり、暫定リリースを実施しました。そこからおよそ1年かけて根本問題を解消して再リリースに至りました。
このときの苦い体験から、多くを学ぶことができました。そのプロジェクトでは、何をつくりたいかまたその優先順位がはっきり決まっていないところに課題があったと思っています。良いものをつくるためには、ゴールのイメージを明確化し、それをお客様とメンバーが共有した上で、同じ方向に向かって進んでいくことが大切だと感じました。
また、学びを得たという経験では、通信業の高品質、高性能なシステム開発をしている部署で、アプリケーション開発のプロジェクトリーダーを務めたことも力になっています。
当社には、業務研修という形で2年間別部署に異動して、分野の異なる仕事の中で学びを得るという仕組みがあります。
異動先となった通信業のシステムは、社会インフラを構築するミッションクリティカルなもののひとつ。万が一、止まってしまうと社会に大きな影響を与えてしまうため、シビアな性能と品質管理が要求されました。ミスが起こらないよう、「本当にこれで大丈夫か」と何度も入念にチェックを繰り返してから、本番環境でのリリースに臨みました。
大学の基幹システムでも、入念にチェックを繰り返して本番環境に対してリリースしていたつもりですが、通信業のシステムでは私が今まで経験したよりも、より洗練されたプロセスで管理されていました。失敗が許されない中、大変なプレッシャーがありましたが、おかげで慎重に取り組む作法・姿勢が身についたと思っています。
限られたリソースで挑むプロジェクト。メンバーを信じて俯瞰するマネージャーというポジション
入社以来、大学のシステム構築に長く関わってきましたが、大学のお客様からは限られた予算の中で相談を受けるケースが多く、オープンソースなど無償のものを活用することがよくあります。制限がある中で、どれだけお客様の要望を実現できるかというところに難しさがあると同時に、おもしろさもあると感じています。
案件の規模が小さいものから大きなものまで存在するため、若いうちからひとりですべてを担当できる案件が存在することが文教分野の醍醐味。「自分がつくった」とやりがいを感じやすいため、主体的に成長のステップが踏めると思っています。
2022年12月現在の私のポジションはマネージャー。お客様や協力会社との調整など、いまでも自分で手を動かしたいと思うことがありますが、自分が感じたような醍醐味をメンバーにも感じてもらえるよう、なるべく仕事を任せつつ、フォロー役に回るようにしています。
マネージャーになってから感じる成長は、視座の高さですね。以前は担当するプロジェクトだけを見ていましたが、今は同時進行する複数のプロジェクトを管理しなくてはなりません。あるプロジェクトで成功したことを横軸展開させ、チーム全体の生産性向上を考えたり、受注を増やすための施策を練ったり、全体最適をより考えられるようになったと思います。
それにともなって、チームで何かを成し遂げたときに、より大きな達成感を覚えるようになりました。メンバーが一丸となってプロジェクトを成功させたいという想いが、モチベーションの源泉になっています。
NECの環境がキャリアを伸ばす──積み重ねた経験を糧に描く未来
NECでは、価値観・ふるまいのあり方を示したグループ共通の行動基準として“Code of Valuess”が制定されています。社員一人ひとりが、自分のありたい姿を描きながら日々、行動しています。その中でも、私がとくに大切にしているのが、「行動はスピード。チャンスを逃さぬように」というものです。
世の中の変化や技術が進化するスピードはますます速くなるばかり。システム開発においては、はじめに決めた計画に沿って最後まで走り切るのが難しくなってきていて、状況に応じて計画を変更しながらプロジェクトを進めることが増えてきました。新しい技術にはリスクがともなうだけに、トライアンドエラーをすばやく繰り返すことが欠かせません。最初に道筋を立ててゴールを明確にすることももちろん大事なのですが、計画を柔軟に書き換えながら、チームと共に成果の最大化を目指したいですね。
それを実現するためにも、技術に長けたプロジェクトマネージャーであり続けたいと思っています。
システム開発にはトラブルがつきもの。プロジェクトを管理する立場とはいえ、「こういう観点で調査してみては?」「このあたりも調べてみようか」という具合に、メンバーに技術的な観点から助言する場面も多く、ベースになるのは技術力だと思っています。
リーダーになるとどうしても技術から離れてしまいがちですが、メンバーや協力会社をまとめる上で、会話の内容を理解して正確な判断を下せるだけの知識が少なくとも必要です。
NECには、最新の技術に精通したプロフェッショナルがいたり、充実した研修や教育制度もあったりするので、そうした機会を活かしながら、自分の技術力を常にアップデートし続けていきたいです。