研究を研究で終わらせない。
人々に役立つことがしたい。
大学では情報系の学部で人の脳データを利用した生体信号解析の研究に取り組んでいました。修士も含めた研究活動の中で8本の論文が採択され、論文を書くことが好きだったこともあり、そのまま博士課程に進むか就職するか悩みました。しかし将来、自身の研究成果が実際に製品やサービスとして人々の生活に利用され役立つことこそが自分が研究を続ける意義だと感じ、それができる企業を探して就職活動を行いました。就職活動の説明会でNECの人事の方にお会いした際、NECには顔認証を始めとした生体データを扱う専門のバイオメトリクス研究所があり、そこでは今の自分の研究をそのまま活かすことができると知りました。更に、NECはトップの国際会議で論文を発表していることも多く、研究者としてもキャリアを積める環境が整っているため、自分にピッタリだと思ったことから志望しました。
自身の特技を生かして研究を進める中で
NECの知見は武器になる。
実際に入社してみてNECの研究所では、研究計画からデータ収集、研究、評価、開発など様々なフェーズがあり、多くの人がそれぞれの得意分野を生かして仕事をしていると感じました。研究所には若い方も多く、風通しが良く活発に意見を交わすことができ、お互いを高め合うことのできる環境で研究を行うことができていると感じます。
入社1年目は顔映像からバイタル情報を推定する技術開発に取り組みました。NECが得意とする顔認証をベースに、人の顔データをヘルスケアや医療系に横展開をしていく研究でした。ここで心拍数と酸素飽和度を推定する技術をつくり、その論文が難関国際会議に採択されました。
現在はバイタルに加えて、体内に水が溜まる現象である「浮腫」を推定する技術開発に取り組んでいます。これは大学との共同研究で、体内の水分を自分で除去することが難しい透析患者の顔画像から、透析前後に生じる浮腫を推定する技術です。この研究もプレスリリースとして研究成果が社外に公開され、開発した技術に関する論文が、難関国際論文誌に採択されました。この2年間で行ってきた顔データを利用した研究は、簡便かつ遠隔から人の健康状態を推定することができるため、ポテンシャルのある研究分野だと考えています。顔認証のような社内に知見のある分野をベースに自分の研究を進めることができるのはNECならではのやりがいだと感じています。
人々に役立つ研究という、
真のゴールを目指して。
研究をして開発した技術は、それが実際にサービスとなって利用していただくことが目標だと考えています。しかし、現状はそこに至るまでに時間がかかっていることが課題です。自社の既存の技術を武器に新たな技術を開発するシーズベースでの研究と、顧客のニーズから新たな技術を開発するニーズベースでの開発がある中で、シーズベースだけでは難しさを感じています。ニーズベースで研究を進めていくためにも、事業部とより連携しながら、研究者側からもユーザーが何を求めているのかを探求し、複数の視点でアプローチをしていく必要があると考えています。自分自身も事業化を経験された方にヒアリングを重ね、様々な意見を聞いて、事業化に向けてのニーズを見つけていきたいです。
「極める」だけじゃない。
自分の得意を人のために。
今後は、研究者としてキャリアアップするために、博士号の取得を目指したいと考えています。自身の強みである論文では、さらにレベルの高い国際会議で論文発表をできるようになりたいです。
さらにこうした研究者としての成長だけではなく、入社前から思っていた、自身の研究成果を技術や製品・サービスとして様々な人に役立つもの繋げていくのが目標です。研究データを取らせていただく中で、現場の医療従事者から、興味がある、早く使いたいというお言葉もいただきます。自分の研究が、そういった方々に実際に役に立つ瞬間をこの目で見ることが、今のモチベーションになっています。