NEC Orchestrating a brighter world
NEC Orchestrating a brighter world

日本で、NECで挑戦する。まだ、ここにない新たな技術開発。

バイエ フロリアン

研究職
グローバルイノベーションビジネスユニット
セキュアシステムプラットフォーム研究所

バイエ フロリアン

ドイツの工科大学で物理学を専攻し、素粒子論の研究を行う。日本の学生との交流がきっかけで日本の大学の博士課程に進み、2015年にNECに入社。現在は研究者として映像配信、映像圧縮の研究に取り組む。

※2023年4月公開。所属・役職名等は取材当時のものです。

競争心とプロフェッショナルの姿勢。
NECで歩む研究者として未来。

ドイツの大学では物理学を学びました。私は素粒子論を研究していたのですが、素粒子論と一言にいってもたくさんの分野に分かれており、私は弦理論をテーマにしていました。素粒子とは一般的に物質の最小単位ですごく小さな「粒」だとされてきましたが、弦理論では弦のような振動しているものだと考えられており、単なる「粒」では説明できない物理現象も説明できます。日本の大学が私と同じテーマで研究を行っていることを知り、日本の学生とコミュニケーションをとりお互い情報交換を行っていました。そういった経緯もあり、日本の大学に進み、博士課程を修了しました。

NECに入社を考えたのは、ドイツにあるNECの研究所が開発している車車間通信技術の映像を見たことが一つのきっかけです。ドイツでももちろんNECという会社は知られていましたし、私自身ももともとICTの分野に興味がありました。そして、その研究内容がとても面白くNECの研究所を志望しました。
面接の時にとても印象的だったのが、プロフェッショナルの意識はもちろんなのですが、「学生時代のライバルはいたのか?競争心を燃やしていたのか?」という質問を受けたことです。元々、狭い分野を研究テーマに扱っていたこともあり、協力しながら各々に研究を行っていたのですが、やはり、企業として競争心を持って研究を行う姿勢が大切なのだと感じました。

研究の意義とその価値を捉えて。

入社して最初に任されたことは、同業他社の動向や研究に対してのリサーチでした。面接時にも感じたのですが、入社した後も、やはり企業として研究を進める以上、競争心を持って取り組まないと生き残れないという精神を感じました。NECの社員の人柄はとても温かいのですが、それ以上に研究者としてのグローバルな視点やアカデミックな部分が強いのだと思います。リサーチを終えた後はNFV(Network Function Virtualization =ネットワーク機能仮想化)の分野で研究を行いました。

この研究は事業化を考えると難しい課題が山積みで、結局事業化には至りませんでした。技術としては良いものでも、それ以外の事情で事業化に至らないことは多々あります。研究にはシーズとニーズの両方の側面があり、NECは明確に20%ルールというものが設けられています。与えられた時間の中で20%は好きな研究に費やしていいというものです。ただし、事業展開しちゃんと成果として回収が見込める研究も大切であり、バランスが重要になってくるのだと思います。

人々の暮らし、社会を豊かにする技術開発を目指して。

現在は深層学習を使った映像圧縮や配信の研究に取り組んでいます。

例えば、建設現場で実際にどういった作業を行なっているかをカメラ映像から分析するAI技術をNECは保有していますが、この分析をするには映像を現場からネットワークを通してデータセンターへ送る必要があります。ただし、映像自体がとても重いデータなのでそのまま送ると通信ネットワークがパンクしてしまいます。そこで、AIの認識精度を劣化させないための映像の圧縮・配信技術の開発を行っています。

今後の目標は自身の研究がソリューションとして活用され人々の暮らしや社会を豊かにする、そんな研究に取り組んでいきたいと思います。

My favorite CoV

一番大切にしているのは、「心は情熱的に自らやり遂げるように」という価値観です。未知の世界、人にまだ知られざるところを開拓していくような探究心からエンジニアリングは生まれてくるものなので、人にはまだ知られていないところを見つけ出すことが自身を突き動かす原動力だと思います。

CoV:「Code of Values」。NECグループ共通の一人ひとりの価値観・ふるまいを示した行動基準

CAREER STEP

2015

入社-NFVの研究

NFV(Network Function Virtualization =ネットワーク機能仮想化)の分野で研究。テレコムキャリアが専用ハードウェアで運営してきたルーターやファイヤウォールなどのネットワーク機能をより安価な汎用サーバ上の仮想環境で安定的に実現するために、機械学習を使った技術を開発し、CCNC(Consumer Communications & Networking Conference)2019で論文を発表しました。

2018

映像分析高速化技術の研究

小売店での、深層学習を使った映像認識(顧客の動線分析など)の安価な実現に向けて、小型PCでも十分な速度で分析を可能にする情報フィルタリング技術を開発しました。

2020

映像配信および映像圧縮の研究

深層学習を使った映像圧縮や配信の研究。クラウドでの映像認識を想定し、認識精度を劣化させないための圧縮・配信技術を開発し、ICIP(International Conference on Image Processing)2022やCCNC2023で論文発表しました。

Q&A

Q

現在のお仕事内容の概要

A

遠隔監視ソリューションなどに向けたカメラ映像のライブ配信技術や圧縮技術の研究をしています。最近では、AIによる監視も話題になってきており、映像データを回線を詰まらせない程度のデータサイズに落としながら、AIが認識しやすいような画質で再現することが研究課題になっています。社内でAIを研究している部署と共同のプロジェクトにも携わっており、個人的にも興味深い境界領域で仕事ができています。

Q

現在のお仕事のやりがい

A

最新の先端技術に触れらているだけでなく、その更に先の研究に携わっているだけでもやりがいを感じています。また、自分が書いた論文が難関と言われる国際カンファレンスで採択される時にも達成感を得られます。社外で研究が認められることで、これまでやってきた仕事にやはり意味があったのだということを実感できます。

Q

現在のお仕事の成功体験

A

「これだ」といったような大きな成功体験があるわけではないですが、日々小さな成功体験を積み重ねていってます。

Q

現在のお仕事の難しい点

A

研究は社内でも理解を得ることが難しいです。数年先に実るかも分からない不確実性の高い投資であるがゆえ、技術力や研究成果の凄さの分かりやすいアピールに加えて、技術に秘められているビジネスの可能性も市場データや社外動向などで裏付けて示す必要があります。

1日のスケジュール

9:00

開発チームとの打ち合わせ

今日はテレワーク。朝は、一緒にプログラミング作業をしているメンバーとの週に一回のテレビ会議。方針を決めたり知恵を共有して一緒にデバッグもしたりします。

10:00

プログラミング

取り組んでいるテーマのプログラム執筆やソースコードのデバッグをします。

12:00

昼休憩

ご飯を食べ、息抜きに散歩したりします。

13:00

論文執筆

国際学会に投稿する予定の執筆中の論文を書き続けます。

14:00

共同研究打ち合わせ

社内の他の研究所と共同でやっている研究テーマについて打合せをします。

15:00

プログラミング

午前中のプログラミングの続き。

18:00

夜休憩

夕飯を作って家族で時間を過ごします。

21:00

検討タイム

気になる方式についてゆっくり集中検討したり、夜間に走らせる機械学習タスクのセットをしたりします。

22:00

テレワーク終了

仕事終わりに気になった論文を読み、終業します。

private

private

最近、テレワークの運動不足対策として、高校生の時にやっていたテニスをまたやり始めています。週1回平日の夜にやっており、健康への良い影響はもちろん、運動によって脳もリフレッシュされ、スッキリした頭で次の仕事に取り組めます。子供もスポーツに目覚めていて、休日は地域の公民館で一緒に卓球をしたりして余暇を家族で楽しく過ごしています。

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