ここにあるのは、企業法務としての
エキサイティングな日々。
一度は弁護士への道も真剣に考えました。大学卒業後の2年間、ロースクールにも通ったほどです。でも、最終的に私が選んだのは、企業法務という道。その中でも、テクノロジーがめまぐるしく進化するICT企業の法務に惹かれました。法整備が追いついていない新しいビジネス領域ではきっと、六法全書には載っていないようなアプローチが必要になる。新しい挑戦ができることにワクワクしたんです。
そんな私にとって、NECはとても魅力的な会社でした。世界レベルの独自技術を多数保有し、しかもエンドユーザーに提供するところまで手がけている。つまり、技術が産声を上げてから、巣立っていくまでを、丸ごとサポートできるということ。とても挑戦しがいのあるフィールドだと思ったんです。面接ではこう話しました。「法的観点からのアドバイスを通して、ビジネスを加速させる仕事がしたいんです」と。
NECの業績が良くないなら、
私たちが変えていけばいい。
私にとってNECは理想的な会社でしたが、周囲からの反応は様々でした。手放しで「内定おめでとう」と言われることもあれば、「業績が良くないけど、大丈夫なの?」と心配されることもありました。実際その頃、NECに関する悲観的なニュースは、何度も目にしていました。当然、「例のニュース見た?」と内定者同士の話題にものぼります。
でも、そのことに関してみんなの口からついて出るのは、ポジティブな言葉ばかり。「NECの業績が良くないなら、私たちが変えていけばいいじゃん」。それぞれがやりたいことを明確に持っていたからこそ、私自身も前向きな思考になれたのだと思います。「技術力は高くても、事業化するのが苦手な会社?それなら、事業化するお手伝いを、私がすればいい」。順風満帆で完成された状況に身を置くよりも、今そこにある課題に正面から向き合うほうが、得られるものはずっと大きい。この会社で働くことに迷いはありませんでした。
能動的なアクションを通じて、
事業貢献を実感できる醍醐味。
法務部に配属されて一番驚いたのは、事業貢献への意識の高さです。事業部との打ち合わせで上司や先輩たちは、「新技術の競合優位点はなんですか?」「どういうビジネスモデルで、どのようにして収益を確保するんですか?」とぐいぐい入り込んでいきます。企業法務はもっと受け身の仕事が多いのではないかと思っていたので、いい意味でギャップがありました。
私も先輩たちに倣い、前のめりで働きかけることを意識し、お客様と交わす契約書や新製品の利用規約について意見を求められた際は、複数の案を提示することを徹底。想定外の事態が起こったときのリスクを最小限に抑えるには、選択肢は多いほうがいいからです。もちろん、「この契約内容なら、法律に抵触する可能性が低くなります」「不利な契約条件は見直すべきです」と、法務部としての見解もきっちり示します。こうした働きかけを経て、「おかげさまで製品が無事リリースできました」と報告をもらったときは、本当に感慨深いものがあります。
打ち上げに呼ばれるような
法務になろう。
「打ち上げに呼ばれるような法務になろう」。これは、法務部が掲げる今年の目標のひとつです。事業に貢献することで、そのプロジェクトにとって、なくてはならない存在になろうという意味です。
これまでは残念ながら、困ったときにしか声をかけてもらえないケースも多かった。法務というだけで、ビジネスにブレーキをかける存在と思われがちなんです。本当は、何か問題が起こってからではなく、早い段階から相談してもらいたいんです。そうすれば、先手先手でリスクを取り除き、製品化・事業化をもっと円滑に、スピーディーに進め、ビジネスを加速させられます。「法務は、敵ではなく味方」という認知を社内に広めていくことが、今後の課題です。
一方で、変わってほしくない面は技術への誇り。技術者の方や事業部の方に会いに行くと、自分たちの手掛ける技術や製品について本当に喜んで話してくれるんです。言葉の端々や活き活きとした表情から、技術に誇りを持っていることが伝わってきて、それが私にとっての誇りでもあります。そこは今後も変わってほしくないですし、法務という立場からサポートできたらといつも思っています。