NEC Orchestrating a brighter world
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準天頂衛星システム「みちびき」を通じ、人類の進歩に貢献。NECの技術で挑む宇宙開発

2021年に日本電気株式会社(以下、NEC)へキャリア入社して以来、準天頂衛星システム「みちびき」に搭載するシステムの開発に従事してきたYohei N.。困難な課題に直面しながらも、着実にミッションを遂行してきました。その軌跡を、上司であるAkikiyo K.、Masanobu N.、Daisuke H.の3人の視点を交えてたどります。

防衛の知見を宇宙へ。衛星から地上までソリューションを一貫して提供できるNECに入社

社会の安全・安心を実現する航空宇宙ソリューションを提供するエアロスペース事業部門。その中にあるスペースプロダクト統括部は、人工衛星搭載用の観測センサ、通信システム、測位システムを開発しています。

Yohei N.:スペースプロダクト統括部は、担当する人工衛星ごとにグループが分かれており、私が所属する第四宇宙システムグループでは、衛星測位システムにおける測位衛星用ペイロードのシステム開発をしています。

衛星測位システムとは、人工衛星を利用して地上の現在位置を計測するためのシステムで、人工衛星と地上システムで構成されています。測位衛星用ペイロードは、衛星測位サービスを提供するために人工衛星に搭載されるシステムで、そのシステム設計を行うのが私の業務です。現在は日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」に搭載するペイロードのシステム設計を担っています。

高精度で安定した位置情報サービスを提供する「みちびき」は、米国GPS衛星の補完と補強の役割を果たしており、スマートフォンなどで日常的に使用されています。自動運転を実現する上でも不可欠であり、産業の発展を支える国の基幹インフラです。

2021年にNECへキャリア入社して以来、「みちびき」の測位衛星用ペイロードのシステム開発をしているYohei。前職では総合電機メーカーに勤務していました。

Yohei N.:防衛事業を担う部署に所属し、電波監視装置のシステム開発に従事していました。経験を積む中で主任に昇格し、装置設計リーダーとしてシステム全体を管理する立場も務めました。

次のキャリアについて考えたのは、担当していた大規模なプロジェクトが終わりに近づいたタイミングです。防衛事業で培った知見を活かして新しいことに挑戦したいと思い、もともと興味のあった宇宙事業を手がける企業への転職をめざしました。

その中でNECを選んだ理由は、衛星から地上のシステムまで一貫したソリューションを提供できる企業だからです。人工衛星の開発・製造にとどまらず、宇宙利用において裾野の広いサービスを手がけられる事業体であることに大きな可能性を感じました。NECで宇宙開発に携わり、人類の進歩に貢献したい。そう考えて入社を決めました。

キャリア入社したYoheiにとって、印象的だったのはNECの社風と働く環境でした。

Yohei N.:組織を超えて気軽にコミュニケーションが取れるオープンな社風だと感じました。またリモートワークの環境が整備されているなど、ICT企業ならではの働きやすさがあるのも魅力に感じた点です。私は幼い子どもがいるため、業務の都合がつくときはできる限りリモートワークを利用しています。

新たな環境の魅力を活かして活躍するために、NECの行動基準「Code of Values」の中でもYoheiがとくに大切にしている価値観があります。

Yohei N.:「心は情熱的、自らやり遂げるように」です。何事も自分事化できなければどこかでほころびが出てしまい、周りのメンバーの信頼を得ることもできません。課題と正面から向き合い、強い意思と情熱を持って最後までやり遂げること。それを仕事の信条にしています。

入社して最初にビッグプロジェクトを担当。慣れない環境でもリーダーシップを発揮

第四宇宙システムグループの部長を務めるAkikiyo。高精度な衛星測位サービスを実現する準天頂衛星システム「みちびき」において、NECが果たしてきた役割をこう述べます。

Akikiyo K.:「みちびき」は2010年に初号機を打ち上げ、現在は4機体制で運用しています。そして今年度から来年度にかけて5、6、7号機が打ち上げられる予定です。NECはそのすべてにおいて測位衛星用ペイロードの開発を行うとともに、地上側の衛星管制システムの開発・運用も行ってきました。そのためNECは衛星測位システムに関して他社の追随を許さない知見とノウハウを保有しています。

中でも特筆すべきは、最新の測距技術です。5、6、7号機を用いた測位衛星システムにおいては、地上局と衛星との距離や、衛星同士の距離を毎秒計測することで、位置情報の誤差の原因となる衛星の軌道位置や時計のずれを改善し、測位精度の大幅な向上が見込まれています。宇宙開発のリーディングカンパニーとして豊富な実績を持つNECならではの革新的な技術により、社会課題の解決に貢献しています。

「みちびき」の5、6、7号機に搭載される測位衛星用ペイロードの開発でプロジェクトマネージャーを務めるMasanobu。メンバーとして新たに加わることになったYoheiに期待を寄せていたと振り返ります。

Masanobu N.:測位衛星用ペイロードは、測位信号を生成する機器や、測距を行う機器、通信機器などによって構成されている非常に大規模なシステムです。その開発全体を取りまとめることができ、社内外の関係各所との調整もできるシステムエンジニアを求めていました。

Yoheiさんはこれまで防衛領域で地上の通信系システムを担当し、装置設計リーダーとして多様な経験を積んできた人材です。前職で培ったスキルを最大限に活かして、チャレンジングな開発を推進してくれることを期待していました。

そしてYoheiは入社後、重要な局面でプロジェクトに参画。最初に担当した業務は、詳細設計審査中に発生した技術的な課題への対応でした。

Yohei N.:関係者のあまりの多さに、プロジェクトの規模がいかに大きいかを実感したのを覚えています。無事に設計審査を終えて試験フェーズに移行してからは、アンテナ試験の取りまとめ役を務めました。アンテナ試験を担当するのは初めての上、私以外は別のグループのメンバーでチームが構成されているというチャレンジングな状況でした。

しかし私には、システム開発を推進する中で培ったリーダーシップやコミュニケーションスキルがあります。それらを活かして多くの関係者と協力しながら、目的の達成に向けて業務を的確にアサインするなど、旗振り役として力を尽くしました。

そうしたYoheiの様子を、直属の上司であるDaisukeは頼もしく感じていたと話します。

Daisuke H.:Yoheiさんが担当することになったのは、技術的にも非常に難易度が高い業務です。そのため経験が豊富なベテランの技術者も巻き込みながら、チーム一体でミッションに取り組んでほしいという想いを最初に伝えました。

実際にYoheiさんが業務に取り組む様子を見ていて感心したのは、優れた技術力だけではありません。キャリア入社したばかりでまだ社内のことを理解しきれていない中でも、周囲とコミュニケーションを取り、チームをけん引している。そんな活躍ぶりを上司としてとても頼もしく感じました。

難局を乗り越えミッションを遂行。社会価値を創造する「みちびき」に携わるやりがい

キャリア入社してすぐに手腕を発揮したYohei。しかしビッグプロジェクトに挑む中で、多くの難題にぶつかりました。

Yohei N.:最初に直面したのは、アンテナの試験で使用する測定器が、当初想定していた方法では使用できないという問題です。そこで測定の方法とデータの解析方法を工夫して対応することになりました。しかし新たな方法を試みたところ、今度は設計上ではクリアできているはずの誤差が生じてしまったのです。

誤差を当初の範囲内に収めるには、種々の補正を行わなければなりません。ベテラン技術者にも知恵を絞ってもらいながら、みんなで懸命に解決策を探りました。

Yoheiはチームであらゆる方法を検討。そして最終的にある結論にたどりつきます。

Yohei N.:アンテナを回転台に乗せる際にきわめて微小な誤差が生じるのですが、それは従来のアンテナ測定では考慮する必要のないものでした。しかしチームであらゆる項目を確認した結果、この微小な誤差を補正するしかないという結論に至ったのです。そうして試行錯誤の末、ついに目標の誤差内に収めることができました。

こうしてアンテナ試験は計画通り無事に完了。難局を乗り越えてミッションを遂行してきたYoheiの活躍について、上司である3人も高く評価しています。

Akikiyo K.:宇宙開発に携わる技術者たちは、目的に向かって個々でストイックに取り組む傾向にあります。そうしたメンバーを取りまとめ、皆で課題を共有して解決していくことは、Yohei さんと同じキャリア入社である私も難しさを感じる場面です。

それでもYoheiさんはまだ新たな環境に慣れていない中で、他の有識者と協力して課題を乗り越えていきました。エンジニアとしてのスキルを十二分に発揮してもらえたと感じます。

Masanobu N.:Yoheiさんを見ていて印象的だったのは、わからないことを放置しない姿勢です。関わるメンバーの誰に対しても、「わからないことはわからない」と明確に伝え、周囲に教えを求めていました。

またアンテナ試験を担当した際、別のグループの考えや要求をしっかりと把握し、自分のチームに的確に伝えていたことも感心した点です。何事もあいまいにせず、現状を正確に捉えて業務を進めるので強い信頼感があります。

Daisuke H.:アンテナ試験だけでなく、その後にペイロードの試験についても担当してもらったのですが、いずれも厳しいスケジュールでの進行となり調整が大変だったと思います。

今回はとくに新たな技術に挑戦しているため、予想外のトラブルが次々と発生し、課題が山積みの状況でした。それでもYoheiさんはどんな困難にも真正面から向き合い、共に挑み続けてくれました。今ではチームにとってなくてはならない貴重な戦力に育ってくれたと感じています。

NECでの新たな挑戦を通じて大きく成長したYohei。ビッグプロジェクトならではの醍醐味を実感しています。

Yohei N.:計画通りに進まないことも多いですが、さまざまな関係者と協力し、軌道修正しながらミッションを達成していくことは、とても楽しくやりがいのある仕事です。開発に携わるほど「みちびき」が人々の暮らしにもたらす価値の大きさを実感し、「人類の進歩に貢献したい」という想いがかなえられていく喜びがあります。

現在は7号機の開発が終盤を迎え、今後は将来号機の開発に取り組む予定です。継続的に新しい衛星を打ち上げることにより、国のインフラである「みちびき」の安全性とサービスの向上に携われるのは、私のキャリアにおいても貴重な経験だと感じています。

プロジェクト全体を統括できる立場をめざして。宇宙開発の新たな挑戦を続けていきたい

キャリア入社して4年目を迎えたYohei。変革を進めるNECで、新たな挑戦ができていることに充実感を感じています。

Yohei N.:NECはカルチャー変革を促す施策の一環として、2018年度からキャリア採用の強化に取り組んできました。私もその一人として採用されたわけですが、宇宙関連のシステム開発は未経験でも、入社後すぐアンテナ試験を担当させてもらえるなど、挑戦のチャンスを与えてもらえたことに感謝しています。今後もこの環境を活かし、宇宙開発の新たな業務にチャレンジしていきたいと思います。

MasanobuとDaisukeは、NECの未来を担うシステムエンジニアとしてYohei のさらなる成長に期待しています。

Masanobu N.:エンジニアリングには、設計から製造を経て、お客様に納品してフォローするまで一連の流れがあります。設計に関する技術的な要素はどの会社もある程度は共通していますが、製造の進め方やルールは企業ごとに異なるため、キャリア入社者が苦労しやすい点です。

そこも一通り経験し、NECのやり方をしっかりと把握した上で、全体を見渡せる視野の広いシステムエンジニアになってほしいと考えています。

Daisuke H.:これまで社内外の関係者と共に業務を進めてきた中で、各所とのコミュニケーションの取り方や調整の図り方について多くの学びが得られたと思います。

それは今後のプロジェクトにも必ず役に立つので、キャリア入社して新たに身につけたスキルを活かしてさらに活躍してほしいです。そして自身のスキルアップと共に、周囲を巻き込む力を一層磨いてもらえればと思います。

2人の言葉を心に刻みつつ、Yoheiは今後めざしているキャリアについて語ります。

Yohei N.:今描いている目標は、Daisukeさんのようなシステムマネージャーになることです。そして将来的にはプロジェクト全体を統括するMasanobuさんのような立場をめざしたいと考えています。

問題が起きたときの影響範囲を瞬時に把握する感度や、対処までのスピード、多数の関係者が一体になれる力強い指針の提案力など、自分にはまだまだ足りないスキルばかりです。「みちびき」のシステム開発に従事する中で着実に身につけていきたいと思います。

これからも開発が続いていく準天頂衛星システム「みちびき」。次のフェーズに向けて、新たな挑戦が始まっています。

Akikiyo K.:Yoheiさんが搭載システムの開発を担当した5、6、7号機は今年度から来年度にかけて打ち上げられ、7機体制での運用が開始される予定です。内閣府の宇宙基本計画では、さらに4号機が追加され、11機体制まで拡大していくことが公表されています。

準天頂衛星システム「みちびき」の開発と維持・運用は、国の宇宙政策における重要事項です。その中核を担っているのは、NECが開発している測位・測距技術に他なりません。今後も私たちにしか成し得ないビッグプロジェクトに全力で取り組み、測位サービスの向上を通じて社会に貢献していきたいと思います。

日本の宇宙開発を最前線で牽引するNEC。さらなる挑戦に向けて、新たな仲間の参加が期待されています。

Yohei N.:NECには、航空宇宙分野の幅広い課題やプロジェクトに取り組める環境があります。そのためやりたいことがあり、それをやり切る胆力を持っている方が理想です。

また多くの関係者と対話して物事を決めていく必要があるため、ユーモアのセンスがあると活かせると思います。譲れない部分を交渉する際にも、相手と良好な関係を維持できるウィットがある。そんな方と共に難題を乗り越え、宇宙開発の未来を切り開いていけることを楽しみにしています。

※ 記載内容は2024年10月時点のものです

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