1899年の設立以来、新しい技術を世の中に送り出し実装してきた日本電気株式会社(以下、NEC)。2018年に「ビジネスイノベーションユニット」を、そして2021年に「グローバルイノベーションユニット」を発足させ、AI創薬事業の本格参入やカーボンクレジットの事業化など、多くの新事業の創出に取り組んでいます。今回は新規事業領域を担う中核人材を募集。なぜNECが事業開発に本気で取り組んでいるのか、同社では何を実現できるのか、新規事業をリードする統括部長と最前線で活躍する2名にお話を伺いました。
顧客や社会と未来を創る「社会実装力」こそNECの強み

──NEC全社のイノベーションを牽引する存在として立ち上げられたグローバルイノベーションユニットについて、どういった組織なのか教えてください。
江本:グローバルイノベーションユニットは、次期のNECを担う事業の柱を立てることをミッションとしています。通常、各事業部門では1~2年で黒字化できる見込みがないと投資は難しいものですが、われわれは5年後10年後を見据え、中長期的な視野で大きく伸びる市場を見極めながら挑戦できます。いわゆる事業の「0→1」「1→10」のフェーズを専任で担う部門です。
実際に、前身であるビジネスイノベーションユニットから新規事業の一つとしてAI創薬事業が生まれ、一つのプロジェクトグループだったところから事業部として収益化を目指しているものもあります。NECには既存事業のヘルスケア領域で、病院など医療機関をお客様としてオペレーションの効率化や電子カルテシステムを提供してきた実績があります。そこで得た知見やノウハウをより広範に生かし発展させ、さらに創薬事業を新たに定款に加えた、未踏の事業領域へのチャレンジです。
これはほんの一例ですが、私たちは「エンドユーザーや社会が抱える課題をいち早く解決したい」という思いで、日々事業開発に取り組んでいます。
──NECの新規事業領域だからこその強みは何でしょうか。
江本:長年培ってきた技術力やグローバルネットワークでいち早く世界のトレンドをつかめる点、そしてそれらを生かして生み出した事業を世の中に展開できる「社会実装力」だと思います。
特定のセグメントにとどまらず、幅広い分野で社会や人々の生活に実際にインパクトを与えられる。それは、120年以上の歴史を支えてきた既存事業というベースがあってこそできることです。圧倒的な顧客基盤やチャネル、キャッシュといった豊富なリソースを有し、スタートアップではなしえないことにも挑戦できる点は、NECならではの強みでしょう。
研究所だけでも欧米やイスラエル、インド、シンガポールなどに拠点があり、各所で事業の種がまかれ情報も日々アップデートされています。世界的なブランド力も後押しし、他社との協業やオープンイノベーションも非常に活発に進められていて、実際にアグリテック領域で大手食品メーカーとジョイントベンチャーをつくり、迅速にPoCや事業展開を行ったりもしています。
2030年までにユニコーン企業3社分に相当する事業開発を実現する

──新規事業のなかでも注力している領域や目指す世界観をお聞かせください。
江本:NECは「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントを掲げ、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指しています。そのため、私たちは環境や社会、暮らしにより貢献できる領域にフォーカスして事業開発を行っています。現在特に力を入れているのは、アグリテックとヘルスケア、モビリティロボットの領域です。2022年にはカーボンニュートラルとメタバースも加え、新たに事業化を目指しています。
部門の目標としては、2030年までにユニコーン企業レベルの事業を3つ創ることを掲げています。そのためには、今芽が出ているテーマを確実に次の事業フェーズに進めることが大事です。新規事業の評価は売り上げで測れるものではなく、資金調達を目指すスタートアップのように「事業価値」で算定していますが、その目標は着実にクリアできています。
ただ、NECのポテンシャルを100とするとまだ20くらいしか対応し切れていません。世界中の研究所や関連会社からアイデアやシーズにつながる情報が入ってきていますので、今回の採用を通じてより多様なメンバーに入っていただき、そこに応えていける体制をつくりたいと考えています。
また、単に事業を立ち上げるだけにとどまらず、業界や社会の仕組みづくりに一石を投じることができるのも当社の面白さでもあります。国や社会を巻き込むルールづくりや産業構造改革にも、今後はさらに力を入れていきたいですね。
──採用というお話が出ましたが、どのような方に仲間になってほしいですか。
江本:事業開発経験のある方は大歓迎ですが、それよりも好奇心が強く、忍耐力がある方にぜひ仲間になってほしいですね。というのも、どんなに経験豊富な方でも、新規事業は失敗がつきものです。目の前に続々と立ちはだかる困難に臆せず、失敗してもポジティブに突き進んでいける方でなければ、新事業を軌道に乗せることはできません。「どうすれば社会にインパクトを与えられるだろう」「もっといい世の中にできるだろう」と、世の中を変えていく気概を持ちながら、好奇心旺盛にさまざまなことにアンテナを立てている方であれば、ご活躍いただけると思います。
社会価値創造のための事業開発を、必要なことを高速で学びながら、貪欲に挑戦していける方にとって、NECの新規事業領域は絶好の舞台だとお約束します。少しでも気になった方は、ぜひご応募ください。
カーボンニュートラルにメタバース、NECならではの先端技術で市場を切り開く

──江藤さんは2021年、兼保さんは2020年にNECに転職されてきたそうですね。改めて、転職のきっかけやNECに入社した決め手についてお聞かせください。
江藤:もともと父がエネルギー系企業勤めだったため、幼少からカーボンニュートラルなど、地球環境の分野に興味があり、貢献できる仕事をしたいと考えてきました。
転職は2回しており、1社目は外資系ガス会社で水素エネルギーの普及に携わり、2社目は日系の自動車会社で、燃料電池自動車、そのインフラに関連するプロジェクトに従事し、その後コネクテッドカーに関連するデータ事業開発を手がけていました。仕事自体はやりがいがあったものの、「本来やりたかったことから遠ざかっているのではないか」と感じるようになり、転職活動を始めました。そこで出会ったのがNECです。
募集していたのがカーボンニュートラルに関する事業開発を行う事業開発職で、まさに望んでいた仕事でした。ただ、日本を代表するような歴史ある大企業ということもあり、アドベンチャー気質の自分で通用するか不安もありました。
ですが、選考過程で、会社として新規事業創出に本気で挑みたいこと、そのために私の力が必要だと強く言ってもらえたことで自信がつきました。実際、私が興味を持っているカーボンニュートラルについて、中期経営計画で成長事業として明確に位置づけられていて、背中を押されました。加えて、NECが製造業からサービス業への転換を、痛みを伴いながらも実行してきた歴史を知り、その苦労も含めてリスペクトできたことが入社の決め手となりました。
兼保:私も新卒では日系の大手通信会社に勤めましたが、その後複数回転職し、NECは4社目です。直前にいたのは大手情報・通信系ITメガベンチャーで、前身の会社が社員50名ほどの立ち上げフェーズで入社し、数千人規模となるまでの約10年を過ごしました。
転職のきっかけは「そろそろ次のチャレンジに踏み出したい」と思ったことです。もう一度、別のスタートアップで事業をグロースさせることも選択肢としてありましたが、それよりも日本を代表するような大企業の規模感とステージで、新しいものを生み出すチャレンジのほうが面白そうだと思いました。これまで事業をグロースさせてきた経験を生かせること、またNEC自体が大手のなかでもイノベーティブなイメージがあったことから、「ここでやってみよう」と決めました。
最初は研究所への配属で、その知識や技術のレベルに圧倒されました。IT企業と比べても領域のカバー範囲は桁違いで、量子力学を生かしたハードウエアからAIなどの高度なソフトウエアまで多種多様なスキルのダイバーシティがあり、この会社の資源を活用すれば、必ず新しいものを生み出せると確信しました。

──現在取り組まれている業務内容はどのようなものですか。
兼保:私は現在メタバース領域の事業開発を統括しています。2030年に向け、メタバースはバーチャルで実現できる範囲が急速に拡大していくことが見込まれます。これまで時代の主役だった「Z世代=デジタルネイティブ」は、「α世代=オンラインネイティブ」へ移行しつつあり、Web3.0×メタバースの時代がやってくることは間違いありません。
日本でのメタバースは、とかくエンターテインメント領域のイメージが強いと思いますが、NECにはこの領域でビジネスを、そして世界を席巻するポテンシャルがあると私は見ています。というのも、メタバースは映像インターフェース技術によるXR(クロスリアリティ)と、サイバー空間のシミュレーション技術によるデジタルツインの掛け合わせですが、どちらもNECの得意領域です。
メタバースシティやメタバーススマートワークなど、リアルとバーチャルの融合が今後ますます加速するなか、NECであればゼロから挑むのでなく、社内にすでにある技術要素、サービス構想や制度づくりなどのナレッジをブロックのように組み立て、いち早く対応していける。その意味で、当社はグローバルでも優位なポジションを築ける位置にあるといっても過言ではありません。
現在、ビジネス領域で取り組んでいるテーマは、「メタバースオフィス」「デジタルヒューマン」「メタバース認証」の3つです。NECならではのAI技術や認証技術を駆使して、ワクワクする未来をビジネス領域で実現しようとしています。
江藤:私はカーボンニュートラル領域での事業開発を統括し、現在3つのプロジェクトを進めています。そのうちの1つではCO2排出量削減のためのコストや業務影響を鑑みた計画立案から、オペレーション最適化までを一貫して解決するソリューションについて、大手物流事業者様と実証実験を行っているところです。このプロジェクトでは、NECがパートナー企業の将来のCO2排出量をシミュレーションし、CO2削減実行計画立案の支援に挑戦しています。今後は、実行後の結果検証し、また計画にフィードバックするまでを実現したいと思っています。
また、NECとしてまさに新規の領域である「カーボンクレジット」の事業化にも着手しています。これは、どうしても削減が難しいCO2を中和する手段として活用されているもので、私たちは実際に日本のある森において、カーボンクレジットの発行プロセスに挑戦中です。ゆくゆくは、自然資本を束ねる森林事業者や商社といったパートナーと連携しながら、カーボン価値の見える化から高品質なクレジットの創出、販売まで一気通貫で実施していきたいと考えています。
さらに、世界レベルで定量化・指標化のルールメイキングが進行している「バイオダイバーシティ」領域のシーズも探索中で、エコロジカル・フットプリントや生物多様性クレジットなど、近く次の開発フェーズに進む見込みです。
現在メンバーは4名で、各プロジェクトで得意な業務に関わるような柔軟な座組みで進めています。また、社内兼業制度を活用して他部門から自主的に参加してくれているメンバーやユニット内の研究所メンバーも支援に入っているほか、関連会社のNECソリューションイノベータ株式会社とも連携するなど、社内のリソース活用体制も柔軟です。
そのため、事業開発といっても企画立案だけでなく、仮説検証用モックアップをつくったり、顧客ニーズを探ったりするなど、事業化に向けた施策を着実に積み重ねられます。「絵に描いた餅」で終わらせず、社会実装に向けて一歩一歩前進できるのは、NECならではの事業開発といえるかもしれません。
全社一丸となって新規事業に打ち込む熱気とパワーを体感してほしい

──NECで新規事業領域に関わる魅力を教えてください。
江藤:NECが時代を生き抜いてきた歴史、既存事業で培った信用や実績は、新規事業開発において大いに役立っています。例えば、カーボンクレジットで金融事業に挑戦するうえでも、会社のブランド力や豊富なアセットを用いながらスピーディーに事を進められています。これはNECの事業開発だからこそ体感できる醍醐味だと思います。
また、環境系ではグループ全体のチャットルームがあり、有志で1,500人を超える関係者が情報提供や質問相談を日々交わしています。自分の所属事業とは関係なくとも、「この領域でNECが勝つ」という熱い意志やパワーがあふれていて、この結束力と社風は入社してみて初めて知った当社ならではの魅力ですね。
兼保:確かに、NECは本当にいい人材が集まっています。それも優秀で技術レベルの極めて高い人たちが、新規事業についても関心を持ち、積極的に協力してくれるのはすごいと思います。
採用面接のときに経営層の新規事業への本気度は十二分に感じていましたが、実際に入ってみると、現場の社員の意欲も想像以上に高いんですよね。もともとサークル活動が盛んで、仕事以外でも社員間のつながりを大切にするカルチャーがあるのですが、大企業にありがちな縦割りで役割を分断する感覚が少なく、既存の事業部門とも連携が必要な新規事業開発を行ううえでは、とても心強いです。
また、この仕事のやりがいは、世の中の暮らしを根こそぎ変えてしまえるようなインパクトを生み出せることです。コンシューマ向けに大規模なサービスを提供する会社はたくさんありますが、企業向けの事業を主軸にしながら、社会に大きな影響を与えている会社はあまりないと思います。

──最後に、記事をご覧の方にメッセージをお願いします。
江藤:NECはカーボンニュートラルやメタバースなど、世界の最前線に立つ事業に積極的に取り組み、社会を変えていこうとしています。「環境分野で新しい事業を作ってみたい」「自分が目指す世界を自らの手でつくりたい」という思いをもった方にとって、当社の新規事業開発はとことんチャレンジできる場所だと思います。
新規事業はキラキラした部分だけでなく泥くさいこともたくさんあります。それでも、チームワークを楽しみながら変化に柔軟に対応できる方、そしてイノベーションの創出に粘り強く向き合い続けられる方に仲間になっていただけたらうれしいです。
兼保:組織を立ち上げてから数年たった今、社内全体に新規事業を盛り上げる機運がますます高まっています。私も今後、新規事業にかける経営層の決意が正しかったと現場で応えていきながら、この波をより大きく育てていきたいです。
今だからこそ、そしてNECだからこそ実現できることがあります。これまでの経験を生かして、未知の領域にチャレンジしたい方からのご応募をお待ちしています。
※本記事は、ビズリーチに掲載した記事の転載です。